山辺の道(天理〜桜井)☆台風の到来の前に


- GPS
- 05:26
- 距離
- 17.4km
- 登り
- 273m
- 下り
- 260m
コースタイム
- 山行
- 5:18
- 休憩
- 0:09
- 合計
- 5:27
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
桜井駅へ |
コース状況/ 危険箇所等 |
山辺の道の案内 https://www3.pref.nara.jp/miryoku/aruku/secure/2278/map.pdf |
写真
感想
奈良から桜井へと続く山辺の道は断片的にその一部を訪れたことはあったが、通して歩いたことがなかった。この日は超大型の台風14号が九州地方を北上する。台風に向かって南東の方角から風が吹き込むせいで鈴鹿や奈良の南の山々は雨の予報であるが、奈良盆地は雨を免れるようであり、山辺の道を歩くことにする。ところで、地図では「縦走」することになるが、山歩きでないので「縦走」という表現が用いることが躊躇されることに今更ながらに気が付く。
天理の駅で降り立つと、ここで楽しみにしていたのは駅のステーション・ストアの一角にある餃子の「天雅」だ。ステーション・ストアといっても店が立ち並ぶ訳ではなく、隣に古びた中華料理店があるばかりで、店の周りはがらんとしている。店の前に雑然と置かれたわずかに8席ばかりのカウンターとテーブルで餃子を食べることになる。
天理の駅前広場はCoFuFunと呼ばれるところらしく、古墳をイメージしたという丸い形の白い建物が立ち並び、モダンな雰囲気だ。しかし、通りを挟んで駅前商店街に入ると昭和の雰囲気であり、一気にタイムスリップした感がある。
商店街を抜けると左手の天理教の総本山があるので、壮麗な社殿を眺めながら境内を東に向かう。総本山の周りは詰所と呼ばれる信者の宿泊施設が周囲を取り囲み、物々しい雰囲気だ。石上神宮に向かう参道に入ると詰所がなくなり、景色も一変する。
田んぼの畦では彼岸花が花盛りだ。後ろから車が来たので道路の脇による。路端に生える雑草に触れた途端に数多くのひっつき虫が服につく。盗人萩(ぬすびとはぎ)の種だ。服についた種を剥がすのに一手間を要する。
石上神社の境内には軍鶏(しゃも)が多く飼われており、盛んにコケコッコーと鳴き声をあげている。境内を通り過ぎていよいよ桜井方面へと続く山辺の道に入ると、途端に長閑な田園風景が広がる。
国道の下のトンネルを潜ると小さな池が現れる。かつてこの地にあった内山永久寺の浄土式庭園の跡らしい。案内板によると西の日光と称されるほどに伽藍の立ち並ぶ大寺院があったあったらしいが、廃仏毀釈運動により廃寺になり、寺宝は略奪されることになったらしい。
寺の跡を過ぎると道は細い山道となる。果樹園の上り坂を小さなカートを押して歩いておられるご老人がおられた。この先の民家に住んでおられる方なのだろうか。
石畳を降りると途端に駐車場があり、多くの車が停められている。天理観光農園を訪れる人達の車のようだ。みかん狩りの案内があったがみかんが熟す季節には早いように思われる、どうやら昼はバーベキューが出来るらしく、そのために多くの人が訪れているようだ。
山辺の道には多くの無人販売所がある。小さな物置小屋では里芋と南瓜が売られていたので、それぞれ100円で入手する。リュックの重さが一気に重くなる。道の周囲の果樹園からは濃厚な香りが漂っってくる。樹々に目を向けると熟する前の無花果の青い実が数多く実っていた。
小さな集落に入ると夜都岐神社がある。夜都岐の読み方はまさか「よとぎ」ではないだろうと思っていたが、「やつぎ」と読むらしい。小さな神社であったが、茅葺きの社殿が風格を物語っていた。神社を過ぎると、集落の中で千切り大根が売られている古民家がある。冷やし無花果¥100とあり、冷蔵庫の中には完熟した無花果が1パック用意されていた。入口の近くの冷蔵庫の中には多くの千切り大根が売られている。無人販売所があることを期待して多くの100円玉を用意してきたが、瞬く間に失くなってゆく。
次の小さな集落は竹之内環濠集落と呼ばれるところで、集落の周囲にかつては自衛のための環濠をめぐらしていたところらしい。
萱生集落も環濠集落の一つだ。集落の手前の池は西山塚古墳の周濠となっているようだ。つまりは古墳の周濠を環濠の一部として利用したらしい。集落を進むと衾田陵の案内がある。集落を東に抜けると樹木の生い茂るこんもりとした丘陵が現れる。
衾田量の手前では「ご自由にお持ちください」とナスと万願寺とうがらしが置かれている。いずれも色や形が少し悪いので、売り物にならないと判断されたもののようだ。それぞれを一袋ずつ頂くことにした。
長岳寺、立派な山門をくぐると、両側にツツジの植え込みが並ぶ立派な参道が続いている。薄暗い本堂の護摩壇の奥では運慶の父親の光慶が刻んだとされる阿弥陀三尊、その両脇には重要文化財に指定されている増長天・多聞天が屹立し、荘重な雰囲気だ。
境内を奥に進み、石段を登ると大石棺仏と称される大きな石仏が現れる。石に刻まれているのは弥勒菩薩らしい。さらにその先にも小径が続いており、道沿いに小さな石仏が置かれている。四十八仏巡りらしいが、道は笹藪に覆われつつあり荒廃しているようだ。
長岳寺の山門には数匹の猫がたむろしている。猫に餌を与えている男性がおられる。男性による1匹の毛並みのいいシルヴァーのキジトラ猫は誰かがトムという名前をつけたとのことだった。
山門の前は天理トレイルセンターがある。センターの中にはお洒落なカフェが併設されており、店内は多くの人で賑わっていた。近くの駐車場にも多数の車が停められており、多くは車で訪れられた方達だろう。建物の前ではウォーターサーバーがあり、ご自由にお飲み下さいとある。紙コップを注ぎ口に用意すると、ウォーターサーバーから出てきたのは非常に冷たい麦茶だった。なんともご親切なことだ。トレイルセンターでは鳥飯が¥200、焼きおにぎりが二個で¥300で大量に売られていたが、果たして無事、今日のうちに完売するのだろうかと心配になる。
トレイルセンターを後にすると祟神天皇陵の大きな古墳が目に入る。古墳に向かって進むと大人数のパーティーとすれ違う。祟神天皇は大和朝廷の創始者とされる天皇らしい。この界隈では相当に大きな前方後円墳だ。その東側にも池と小山も櫛山古墳のものらしい。
小さな集落を過ぎるとさらに前方に前方後円墳が見えてくる。こちらは景行天皇陵だ。その北側に大和三山を見晴らす展望地があるとの案内がある。おそらく以前は棚田だったのだろうと思われる東側の段丘に登ってみる。形の良い山が見える。大和三山とは耳成(みみなし)山、畝傍(うねび)山、天の香久山の三山だ。
道を進むと「ひもろぎ遺跡まで20m」との道標がある。訪れてみるとみかん畑の中の小さな石が建てられている。ひもろぎとは漢字では「神籬」と記されるようだ。かなを打ち込むとすぐに変換される。古代の神霊が降臨する場所だったらしい。
道が大きく曲がって東向きに坂を登ってゆく。坂を登りきった「きてきて 山の茶屋」というスウィーツとカフェの案内がある。家内はここで休憩して冷たいものにありつけることを期待していたが、近づいてみると準備中となっている。後で営業時間を確認すると15時までとなっていた。
山の茶屋で南向に曲がるとすぐに葡萄農園があり、色々と葡萄が売られていた。形の良い白葡萄を¥300で購入する。早速一粒、口に運んでみると、甘味が口腔内に広がった。味からするとシャイン・マスカットではないかと思われる。
次の曲がり角では間引きしたデコポンが売られているので、これも入手する。白い発泡スチロールの箱には「大福餅 いちど食べたら忘れられない味」とある。蓋を開けて二ついただくことにした。箱の中の小さな餅は保冷剤のせいで十分に冷えていた。
桧原神社に向かって車道を進むと向こうからやってきた車がクラクションを鳴らして停車する。運転席の窓が開き、「これあげる」と男性が一枚の紙を差し出す。何かと思えば、この箸中と呼ばれる近隣の観光案内図であった。男性かその親しい人が作成したのであろう。男性は「桧原神社に行くんやったら、その西にホノケ古墳というのがあるやろ。ここからの景色がええで」と言葉を残して去っていった。
ところで、この山辺の道では舗装路を歩いていてもほとんど車とすれ違うことはなく、萱生の環濠集落で数台の車とすれ違ったくらいだった。小さな谷を流れる纒向川を渡ると、桧原神社に向かう道からは果樹園の彼方に生駒山から矢田丘陵へと続く稜線を遠望する。ところで、この纒向川も難読だ。「まきむく」と読むらしい。下流の右岸にJR奈良線の巻向駅があるが、古くはこのような難しい字を書いたのだろう。
桧原神社を過ぎて神社の左手の杉林の中の小径を辿る。樹林が切れたところで小さな寺の前を通る。玄寶庵(げんぴあん)という寺らしい。境内にはピンク色の芙蓉の花が数多く咲いているので、花に惹かれて境内に入る。折しも小雨が降り出すので、しばらく寺の軒下で雨宿りをさせて頂く。
雨が止んだところで再び出発する。このあたりは立派な神社が続く。まずは弁天池のある狭井(さい)神社に至る。社殿の奥には御神水が沸いている。途中でペットボトルをことごとく捨ててしまったのを後悔する。この神社は三輪山の登山口となっており、登るためには神社で受付をする必要があるようだが、コロナ禍によりしばらくの間、登山は禁止らしい。登山口の扉が封じられていた。
狭井神社には数多くの人が訪れていたが、人の流れはすぐ南隣の大神神社へと続いている。大神神社も難読であり「おおみわ」と読む。神社に参拝すると、大樹の立ち並ぶ壮麗な参道を歩いて三輪駅に向かう。
三輪の今西酒造の日本酒を最後に入手するのが本日の楽しみの一つであった。参道の近くに今西酒造の店がありみむろ杉の菩提?とササユリから取られた酵母による特別純米酒を入手することが出来る。「みむろ」は三諸と書き、大神神社の御神体である三輪山の古称「三諸山」に由来するらしい。ここからは三輪駅前から桜井駅を目指してまっすぐに南下する。
翌日、敬老の日の朝日新聞を広げると、一面の「天声人語」に従業員の全員が70歳以上という桜井の駅前の「卑弥呼」という団子屋が紹介されていた。次に歩く時には是非、この店にも立ち寄ることにしよう。また違う季節に訪れたいと思う楽しい道であった。
コメント
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ザックもズッシリといつも以上の重さだったのでは?
お酒のラベルは棟方志功の作風に似てますが良いですね。
里いも、南瓜、じゃがいも、千切り大根、マスカットの他にもなす、栗、万願寺とうがらし・・・様々買い物しました。ここを訪れる時は大きめのリュックが必要かと思いました
みむろ杉・・・関東にはあまり流通しないかもしれませんが、機会があれば是非
最後の大神神社から天気などでも呼ばれないといけないと言われる⁈ちょっと入山に厳しい⁈不思議な体験をされる事があるという三輪山へ計画していなかったのですが、ふと思い出し立ち寄った事があります。コロナでまだ登ってはいけないかもしれませんが…。神様の宿るのお山なので神聖な気持ちで入山し、写真撮影も禁止で、レコは切って入山したので、記録はありませんが…。
今年の夏は雨で山行計画が悉く頓挫して、8月以降、登山らしい登山はほとんど出来ておりません。
この日も天気が多少悪くても山辺の道なら・・ということで、奈良に向かったのですが、龍王山や三輪山は改めて訪れてみたいところだと思いました。
三輪山は写真撮影も禁止なんですね。山域に入ると雰囲気がガラリと変わるという話は聞いたことがありますが、厳粛な登山を心がけるところなんでしょうね。教えてくださり、どうも有難うございます。
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