佐久の秘峰、霊仙峰から「日本で海から一番遠い地点」へ中央分水嶺を辿る


- GPS
- --:--
- 距離
- 6.8km
- 登り
- 641m
- 下り
- 651m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
基本的に中央分水嶺上を歩くコースだが、いわゆる登山道と見做されるのものは皆無。 所々踏み跡らしきものも現れるが、ケモノ道も多くはっきりしない。 全体の半分以上は笹ヤブ。テープなどの目印は少ないが、要所には付けられている。 稜線は複雑に屈曲しているので、特にピークからの下りでは要注意。(小唐沢山で下る方向を間違えて登り返す羽目になった(T_T) 今の時期はまだ木の葉が出ていないので先のピークが見えるが、夏場は見通しが効かなくなりより難しくなると思われる。 確実なルートファインディングが必要。 |
写真
感想
GWはどこに行っても人が多いが、人ごみの嫌いな自分は、どこか静かな山にでも行こうと思っていた。
そんな折、ネットで「日本で一番海から遠い地点」を見つけ興味が沸いたが、ただ行くだけではつまらないので、近くの山にも登ることにした。
この近くには「霊仙峰」という何か信仰的な名前の山があるのにどのガイドブックにも載っておらず、ネットで少し記録が見られるだけの山なので、ここにも登ってみようと決めた。
佐久市(旧臼田町)と群馬県境の山域で、長野県側が中央分水嶺を越えて群馬県側に張り出している面白い場所だ。
最初、登山口を別々にしてそれぞれピストンしようと考えていたが、地図とにらめっこしていて、どうせなら、霊仙峰から中央分水嶺を縦走して「…遠い地点」に辿りついてみることにした。
ネットでこの山域を検索すると、地形図には名前の無い山にも山名が付けられ、「小唐沢山」「県境右の耳」「県境左の耳」「榊山」など興味をひかれる名前がある。
登山道は、雨川ダム上から「…遠い地点」まではあるようだが、それ以外は全くなく、自分の好きなヤブ漕ぎの世界らしい。
田口峠から佐久側に少し下った樽ヶ久保橋という橋の手前の広場に車を置き、登山開始。
そこから沢沿いに地図には無い林道が伸びてるので、それに従って入ると、5分も立たないうちに林道は終わってしまった。そこから右手の山に取り付く。
檜の植林帯となっていて、ケモノ道に沿って登るとすぐに明瞭な尾根になった。
その尾根を辿り、植林帯を抜けて急登すると最初のピークに着いた。霊仙峰の一つ手前のピークだ。そしてここから中央分水嶺を行く。
薄い笹ヤブを下り、かなりの急斜面を登り返すと、あっさり霊仙峰に着いた。
登山開始からまだ1時間も経っていない。
これは楽勝だとタカをくくっていいたが、甘かった。ここから先が長かった。
霊仙峰からは、小広い斜面を下る。下る方向を間違えると全く違う場所に行ってしまうので、地形図を確かめながら慎重に下り、主尾根に乗った。ここにはブナが意外なほど多かった。
まだ木の葉が出ていないので、これから行く小唐沢山が良く見える。
尾根の広いところは笹ヤブも濃く、見上げると所々に熊棚もあり、声を出しながら進む。
小唐沢山に取り付くと、一気に急登となった。横に走るケモノ道は無視して、木に掴まりながらほぼ直登する。
アカヤシオの花が増えてくると、もうそこは山頂だった。
霊仙峰は木が多くあまり展望は良くなかったが、ここは鋭鋒で展望も良い。八ケ岳が良く見えた。
アカヤシオもきれいで、15分ほど展望と花を楽しんでから下る。
地形図を見ると、中央分水嶺はここでV字型に曲がる。北北東から登ってきて北西に下るルートだが、下り始めは尾根もはっきりしない。しかもものすごく急で、立ち木に掴まらないと下れないほどだった。
下ることに気を取られたまま少し下っていると、左手にも別の尾根が下っているではないか。そういえばこの尾根には目印も何も無い。登り返して山頂直下で、今度はケモノ道を使わせてもらって隣の尾根にトラバースすると、赤テープがあった。
早めに気付いてよかった。
どんどん下って最低鞍部に出た。ここは、群馬県側に張り出していた長野県境が中央分水嶺に戻って来る地点だ。
ここからは、長野・群馬の県境を行くことになる。ただし、尾根イコール県境は複雑に屈曲しているので、しっかり現在位置を確認して行かなければいけない。
地形図では、この先県境が北側に2か所、耳のように張り出している場所があり、それぞれのピークを「県境右の耳」「県境左の耳」と呼んでいるらしい。
最低鞍部から登り返すと、すぐに県境右の耳に着いたが、尾根の高まりといった感じで特徴は無い。だらんとした地形で間違えやすいが、少し下ると、ちょっとの間だけだが、幅50センチくらいのヤセ尾根もあった。
この先、直角に左折(南下)する場所がわかるか心配だったが、木にしっかりテープが巻かれていて助かった。しかしその先しばらくは猛烈な笹ヤブとなった。
そのヤブを抜け今度は右折(西進)、緩い登りは相変わらず深い笹ヤブだ。と思ったら、突然下草の無いカラマツの植林帯になった。その地点でまた右折(北上)するように登る。ここも広い斜面で、登りきるとそこに県境左の耳のプレートがあった。
ここからは鋭角に左折(南西方向)して少し下り、やや左に曲がる(南下)。
日本で海から一番遠い地点は、このすぐ右下(長野県側)らしい。
尾根を外れ笹ヤブを漕いで下ると、突然開けた場所に出て、そこが「…遠い地点」だった。
ネットで見たのと同じ標柱と案内板が立てられている(あたりまえか)。
ここまで4時間以上かかったが、正規の登山道を辿れば1時間で来ることができるらしい。
わざわざ遠回りしてヤブ漕ぎで来る人の方が変だけど、好きでやっているからよけいに面白い。
達成感を味わいながら、ゆっくり昼食を摂った。
さて、帰りはどうしようかと考えたが、正規ルートを行くと、県道に出てから駐車場所まで5キロほど車道歩きをしなくてはならないようだ。それではつまらない。そうかといって、来た道をまた戻るのも大変だしその気もない。
地形図を見ると、県境左の耳の北側に三角点がある。ここは「榊山」と呼ばれているらしいが、そのすぐ東側の沢沿いに林道の表示があるので、榊山に立ち寄ってからその沢に下り県道に出れば、車道歩きも少なくて済む。
一旦県境稜線まで登る。切り開きが別にあったのでそこを登った。
県境左の耳まで戻り、そこから北に派生する尾根を辿ると、榊山のプレートと三角点があった。
樹間から、午前中に歩いた霊仙峰と小唐松山が谷を挟んで見えた。
榊山からちょっと戻ると、沢に下る目印と思われるピンクのテープがあり、それに従って急斜面を下る。
ガレ場があったり笹ヤブがあったりしたが、標高差150メートルを20分ほどで下って沢に出た。
林道があるはずだったが、わずかに痕跡が見られるだけでほとんどガレている。洪水の跡らしい情景だ。
水は少ないので沢の中を下って行くと、下部は林道らしくなっていたが、笹ヤブ状になっている所もあった。
県道に出て、20分ほどの車道歩きで車に戻った。
誰にも会わず、とても静かな山行だった。
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