青海黒姫山〜整備された清水倉コース、北アルプス・頚城アルプス・日本海を一望する至福の頂
新潟県
sogen
- GPS
- 08:09
- 距離
- 7.1km
- 登り
- 1,134m
- 下り
- 1,134m
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【実働】6時間10分
| 天候 | 快晴 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2009年05月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
自家用車
工場を左に見て少し進んだ所に登山口があり、その前に3台くらいの駐車スペースがある。 |
| コース状況／ 危険箇所等 |
【コース状況】 2008年4月に従来のメインルートだったデンカ青海鉱山コースが閉鎖になり、バリルート扱いだった清水倉コースが唯一の登山コースとなったため、一般登山道として相応の整備が施されている。 コースとして迷いそうな箇所や特に危険な箇所はないが、標高1,010mから1,110m付近の沢に残る雪渓は内部の融雪が進み踏み抜きやすくなっていた。箇所によっては1mくらい落ちそうな所もあるので、薄そうな雪渓はなるべくどちらかの斜面沿い(潅木の藪)に逃げる方がよい。 標高800m付近の金木平水場から1,000m付近までの区間は瘤付き虎ロープの急登が連続し、非常に滑りやすい。 熊の非常に多い山域のため熊鈴は必携。 -標高表示は糸魚川市ホームページの黒姫山登山案内による。 金木平の水場は上部の雪渓が水源であり7月には涸れるらしい。 またコース下部で小さな沢を渡るが、飲用の可否や通年水があるかなどは不明。 登山口に書き込みのできる掲示ボードと連絡帳の入ったポストがある。 【周辺情報】 トイレ・飲食店は国道8号線まで出ないとない。 糸魚川市内の温泉は総じて料金が高いのが難。もっとも安くて割と近いのが"長者温泉・ゆとり館"で、糸魚川市能生の国道8号線「木浦橋東詰」から山側に3.3km、入浴大人400円。 |
写真
糸魚川市内姫川大橋南の姫川堤防からの青海黒姫山。東南側の石灰岩採掘面は信州側からの遠望でもそれとわかる、ある意味青海黒姫山のシンボル。
東南側の石灰岩採掘面は信州側からの遠望でもそれとわかる、ある意味青海黒姫山のシンボル。
電気化学工業(デンカ)青海工場前からの青海黒姫山。従来はここからスタートする青海鉱山コースがメインの登山道だったが、新鉱区開発工事のため2008年4月からコース閉鎖となった。
従来はここからスタートする青海鉱山コースがメインの登山道だったが、新鉱区開発工事のため2008年4月からコース閉鎖となった。
熊はこの辺りの道路にまで出没することがあるらしい。
カネヨリサイクルセンター工場のすぐ近くにある清水倉登山口。標高は86mで、頂上との高度差は約1,140mとなかなかのもの。
今は登山道はここからしかない。
標高は86mで、頂上との高度差は約1,140mとなかなかのもの。
今は登山道はここからしかない。
登山口前にはホワイトボードの掲示板と連絡帳の入ったポストがある。掲示板には登山者が思い思いに感想やルート情報を書き込んでおり、「滑りやすい」との記述が多い。
今年の入山者は誰も連絡帳に入山記録を書いていなかった。
掲示板には登山者が思い思いに感想やルート情報を書き込んでおり、「滑りやすい」との記述が多い。
今年の入山者は誰も連絡帳に入山記録を書いていなかった。
旧水田跡地の杉林を緩やかに登り、サワグルミの林に変わる辺りに「飲料水」の標識があるが、水場らしきものは近くには確認できなかった。なお、ここに到るまでに一つ小さな沢を横切るが、水場としての適否は不明。
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なお、ここに到るまでに一つ小さな沢を横切るが、水場としての適否は不明。
登山道をふさぐのは熊の糞!?人サマのモノの4倍はあろうかというハンパでない量。
熊鈴を付けてはいるが遭遇しないことを願うばかり。
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人サマのモノの4倍はあろうかというハンパでない量。
熊鈴を付けてはいるが遭遇しないことを願うばかり。
汗ばんだ手にもシャクの花びらがびっしりとくっつく。
中腹に差しかかってくると所々に石灰石のガラ場が現れる。頭の高さに被さる樹木に注意。
足元に気を取られていると強烈な挨拶をくらう。
頭の高さに被さる樹木に注意。
足元に気を取られていると強烈な挨拶をくらう。
中腹斜面を横切って登るルート上の樹木はことごとく横倒しになって伸びている。
標高800mの金木平の水場。水際を虫がいっぱい飛んでおり、飲もうという気にはならない。
夏には涸れるので始めから当てにしないほうがいい。
水際を虫がいっぱい飛んでおり、飲もうという気にはならない。
夏には涸れるので始めから当てにしないほうがいい。
金木平から先は急登が標高1,000m辺りまで断続的に続く。必要な所にはほとんど虎ロープが敷設されているが、掲示板に書かれていたとおり赤土質で滑りやすく、下りでは久し振りに携行したステッキに大いに助けられる。
必要な所にはほとんど虎ロープが敷設されているが、掲示板に書かれていたとおり赤土質で滑りやすく、下りでは久し振りに携行したステッキに大いに助けられる。
粘土質が露わになった急登。虎ロープも瘤付きになり、まさに"行きはヨイヨイ帰りはコワイ"区間が続く。
下りではロープとステッキの助けを借りても二度の尻餅を避けられなかった。
虎ロープも瘤付きになり、まさに"行きはヨイヨイ帰りはコワイ"区間が続く。
下りではロープとステッキの助けを借りても二度の尻餅を避けられなかった。
まもなく雪渓が現れ始める。下を融雪水が流れており、画像のような小さな雪渓は薄いブリッジになっていて踏み抜く可能性が高い。
場所によってはかなり深いので、こうした所はできるだけ斜面どちらかのブッシュに迂回する。
下を融雪水が流れており、画像のような小さな雪渓は薄いブリッジになっていて踏み抜く可能性が高い。
場所によってはかなり深いので、こうした所はできるだけ斜面どちらかのブッシュに迂回する。
これくらい大きな雪渓なら真ん中を歩けば大丈夫。この画像を撮影後にデジカメをしまい損ねたらしく紛失し、かなり先からここまでウロウロ探しに戻り25分ロスする。
水に浸かっていたらアウトだったが雪の上で危うくセーフ。
この画像を撮影後にデジカメをしまい損ねたらしく紛失し、かなり先からここまでウロウロ探しに戻り25分ロスする。
水に浸かっていたらアウトだったが雪の上で危うくセーフ。
「清水倉まで4,300m」、「山頂まで350m」の標識が横たわった平坦地が旧黒姫小屋跡で、閉鎖された旧青海鉱山コースの合流点。まだ道は残っていたが通行は禁止。
ここから山頂西尾根ピークまでキクザキイチゲの咲く急登をもう一頑張り。
まだ道は残っていたが通行は禁止。
ここから山頂西尾根ピークまでキクザキイチゲの咲く急登をもう一頑張り。
360度の展望に思わず感嘆の声が出る。
黒姫権現が祀られた1,221.5m青海黒姫山頂上に到着。西から南に白馬岳以北の北アルプス最北部、南東に雨飾山から火打山にかけての頚城アルプス、背後には日本海と、眼前に広がる展望は壮観。
西から南に白馬岳以北の北アルプス最北部、南東に雨飾山から火打山にかけての頚城アルプス、背後には日本海と、眼前に広がる展望は壮観。
糸魚川市街地と日本海。
水平線は霞んで残念ながら佐渡は視認できない。
頂上からのパノラマ��:東北東方向。遠景右上の二つのピークは鉾ヶ岳(左)と権現岳(右)。
霞んでいるが、中央遠くには米山の三角錐が確認でき、刈羽黒姫山らしき山影も見えていた。
遠景右上の二つのピークは鉾ヶ岳(左)と権現岳(右)。
霞んでいるが、中央遠くには米山の三角錐が確認でき、刈羽黒姫山らしき山影も見えていた。
頂上からのパノラマ��:東南東方向。遠景の雪峰は、中央から右に火打山-焼山-金山-天狗原山-雨飾山と続く頚城アルプス。
その手前、中央左には駒ケ岳から鋸岳にかけての山塊。
遠景の雪峰は、中央から右に火打山-焼山-金山-天狗原山-雨飾山と続く頚城アルプス。
その手前、中央左には駒ケ岳から鋸岳にかけての山塊。
頂上からのパノラマ��:南東方向。中央に明星山、遠景左端に雨飾山、その右斜面奥遥かに北信の黒姫山も覗いている。
明星山奥に奥裾花山系と西岳連峰が重なり、雲の下には堂津岳と高妻山・乙妻山が被る。
中央に明星山、遠景左端に雨飾山、その右斜面奥遥かに北信の黒姫山も覗いている。
明星山奥に奥裾花山系と西岳連峰が重なり、雲の下には堂津岳と高妻山・乙妻山が被る。
遠景左のなだらかなピークが朝日岳か。
北アルプス最北部の山々は同定が難しい。
遠景日本海に向かって落ちてゆく北アルプス。
手前右は黒姫山頂上西尾根ピーク。
米山同等、海を見下ろす山頂からの景色は飽きることがない。
三角点の所に戻して改めて1枚。
石灰岩地質のこの辺りは鍾乳洞もいくつかある。
カネヨリサイクルセンター工場前の青海川を渡った地点から青海黒姫山を振り返る。これで念願の信越黒姫山三山(北信、青海、刈羽)の踏破が完成した。
これで念願の信越黒姫山三山(北信、青海、刈羽)の踏破が完成した。
クルマバソウにも似ているが、花が漏斗型でなく杯型。
ニョイスミレ(ツボスミレ)かミヤマツボスミレだろうが、葉の形と分布地からたぶんニョイスミレ。
これを写そうとしてデジカメを落としてきたことに気付いた。
頂上西尾根に出る最後の急登にたくさん咲いていた。
感想
黒姫山という名の山は、長野県に一つ、新潟県に二つある。北信五岳の一つで二百名山に名を連ねる我が地元信濃町の黒姫山(信濃富士、2,053.4m)、刈羽三山の一つで中越・柏崎市の黒姫山(刈羽黒姫山、889.4m)、そして三百名山に数えられる上越・糸魚川市の黒姫山(青海黒姫山、1,221.5m)だ。
地元の黒姫山には何回も登っているが、昨年山登りを再開した当初では新潟の二山は未踏であり、ずっと気になる対象だった。刈羽黒姫山は4月に登頂を果たし、残ったのがこの青海黒姫山だ。
昔の関取の四股名にもなったこの青海の黒姫山は、信越黒姫山三山の中で最も手ごわいと踏んでいた。
北信の黒姫山は最短の西新道を登れば頂上までの標高差は900mくらいなのに対し、海に近い青海黒姫山は標高差1,100mを超える。それにほとんどの登山者が利用していた電気化学工業青海鉱山からのルートが、昨年4月から新鉱区開発のため利用できなくなっていた。
残された唯一の登山ルート"清水倉コース"は、ネット検索で過去の山行記録を見る限りあまり整備されておらず、荒れた不明瞭な区間があって途中敗退の例も散見され、しかも熊の巣窟の中を歩くようなルートらしいので、昨年秋に計画しかけながらつい及び腰になっていた。
しかし、唯一の登山ルートになって1年が経過したことで、もうそれなりの整備はされているだろうと考えた。ネット上にもそれを裏付けるような昨年の山行記録もアップされてきている。
この山のロケーションから期待できる海と山の眺望と信越黒姫山三山完踏の誘惑に駆られ、雪解け後の好天日を狙ってのこの日の山行となった。
今年は5月4日と17日に入山者があったことが登山口の掲示ボードで窺い知れたが、登山ポスト内の連絡帳には今年の分の記載はなかった。300名山ではあっても、登山道の変更などもあって登山者はあまり多くないようだ。この日も他に登山者はいなかった。
掲示ボードによると、5月4日の時点ですでに登山道の刈払いなどの整備がされていたようだ。
昨年記載分を見ると整備に関しての要望が様々あったが、「やぶをかってくれ」など刈ってあるのが当たり前という意識の感じられる書き方のものは、整備してくださる方々もいい気分はしないであろう。
今回問題なく登山できたことを地元橋立区の関係者の方々に感謝申し上げたい。
残雪の部分で少々苦労はしたが、結果としてはとても満足のいく山行だった。
頂上からの眺望は予想通りに素晴らしかったし、花の種類もとても多く、デジカメのシャッターを押した回数は裕に100回を超えた。
登山道も前半は思ったよりも緩やかな所が多く、その分後半は確かに歯ごたえがあったものの危険と思える箇所はない。このコースの情報がネット上などにもっと増えてくれば、今後登る人は確実に多くなる山だと思う。
採掘で大きく削られた山というイメージはマイナスには違いないが、それで登山対象としてのこの山の価値が下がるものではない。
今回の山行を終えて信越の黒姫山三山は、自分にとっていずれも魅力にあふれたお気に入りの山となった。
黒姫山三山ということでは、今回気がついたことが二つある。
一つ目は、北信の黒姫山の麓にある自宅から車を走らせると、刈羽黒姫山も青海黒姫山もどちらも登山口までの走行距離がちょうど100kmで同じということ。もちろん道路の走行距離は直線距離ではないので、三つの黒姫山を結んでも二等辺三角形にはならないが、印象的な偶然である。
二つ目は、三つの黒姫山で唯一この青海黒姫山は、他の二つの黒姫山を見通せるロケーションにあるということ。北信と刈羽はお互いが見通せないのだ。その意味では標高では次男坊の青海黒姫山が扇の要に位置しているというわけだ。
他の人にとっては二つとも「それが何か？」というようなことだが、黒姫山というくくりで完踏を目指していた自分にとってはとても興味深い発見だった。
今回はつまらない失敗も二つあった。
花など頻繁に撮影対象があったため、デジカメを常に出しやすいように胸ポケットに入れていたのだが、雪渓途中での撮影後にしまい損ねたらしく落としてしまっていた。この時には気づいて探しに戻るのに少々タイムロスはしたものの、デジカメは雪の上で無事に見つかった。
それはよかったのだが、下山後には今度は20年以上前から愛用してきたステッキを登山口に置き去りにしてきてしまった。すぐに車に積まないまま連絡帳に下山報告を書いたり、通ってきたルートを地形図上で整理・検討したりしていたせいだが、こちらはもう戻ってこないだろうと思うと実に残念だ。
なお、今回はカシミールからプリントアウトした地形図のほかに、"山と高原地図34：白馬岳・北アルプス"(2005年版)を携行した。
この地図の裏面の"栂海新道"図に清水倉から青海黒姫山へのルートが点線で記載されているが、実際のルートは登山口から中腹にかけて南側の等高線の緩い部分を通っており、8合目辺りまで明らかに異なっている。
登山口を入ってすぐルートは右折して水田跡地の杉林へ向かったが、右折地点は直進方向に石段が続いていたので、以前のバリコース時代とは別のルートが新しく開かれたのかもしれない。
通過ルートの記録はカシミールから適当な縮尺で印刷した地形図上で行っていたので、距離感がつかめておらず、登録したルート図も大まかなものでしかない。
今後登られる方でGPSを活用できる方があれば、ぜひ正確なルート図を登録していただければと思う。
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