蓬尾根〜山伏〜大谷嶺☆安倍奥探訪記・二日目


- GPS
- 07:50
- 距離
- 14.8km
- 登り
- 1,607m
- 下り
- 1,588m
コースタイム
天候 | 晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
蓬尾根は全般的に踏み跡が薄いが歩行困難な箇所はほとんどない しかし蓬峠の手前の鞍部からは踏み跡がない その他は全般的に明瞭な登山道 |
写真
感想
この日はいよいよ安倍奥の盟主、山伏を目指す。山伏と書いて「やんぶし」と読むことを宿泊した温泉民宿の女将さんが教えてくれる。知らなければ読めないだろう。問題は周回ルートだ。私は笹山を周回したいところではあったが家内が距離の長さを懸念するので大谷嶺への周回コースを選択することにする。
朝は雲ひとつない晴天が広がっている。5時半に宿を出発した時点ではまだ暗かったが、瞬く間に周辺は明るくなってゆく。大谷崩と山伏登山道との分岐の近くの道路余地に車を停めて出発する。
一般登山道は西日影沢に沿った林道を奥に入ったところであるが、林道を歩くよりも蓬尾根と呼ばれるこの尾根を端から辿ってみたいという思惑により、すぐに右手の植林の斜面に取り付く。急登ではあるが、尾根芯の明瞭な作業道を辿って高度を上げてゆく。やがて背後の東山稜から朝日が昇ったのだろう。林の中が一斉に照明をつけたように明るく輝き始める。
植林の中の急登がひとしきり終わりp1196を越えて尾根がなだらかになったところで前日に宿泊した民宿が用意してくれたお弁当を広げることにした。宿の女将さんには前日の夜でいいから・・・と云ったのだが、女将さんが朝早く起きてこしらえてくれたお弁当は期待以上に豪華でボリュームがあった。
p1353への登りになると植林も終わり、自然林のやせ尾根となる。ところどころで馬酔木の藪も現れるが、馬酔木の間には明らかに刈払いされた道が続いている。
P1471が近づくと再び左手に植林が広がるようになる。蓬峠への鞍部では右手の植林の中に明瞭な道が続いていた。鞍部から先は植林が終わり、大きな岩と苔むした樹林の尾根になる。いかにも南アルプスといった雰囲気だが、それまで続いていた踏み跡が途端に不明瞭になる。ところどころにテープがあるし、尾根筋は明瞭なので道迷いの心配は少ないが、歩きやすいところを適当に選んで登るしかない。
先の方から熊鈴の音が聞こえてくる。西日影沢から登ってくる登山道との合流地点に達すると単独行の男性が丁度、下から登ってこられたところであった。
ここから昨日の八絋嶺の富士見台への尾根と同様、山毛欅の大部が立ち並ぶ自然林の尾根が続くようになる。林相はいいのだがしばらくは急登の尾根が続く。山伏からの南に延びる稜線に登ると途端に景色は一変し、立ち枯れの樹が目立つ草原となる。足元を見ると日陰には一面に霜が降りていた。
なだらかな尾根を緩やかに登ると左手の笹原の彼方に富士山と荒々しい崩壊斜面を擁する大谷嶺の展望が広がった。山頂には既に3組の登山者がおられる。山頂の北側からは冠雪した南アルプス南部の山々の展望が広がり、壮観だ。聖岳は山頂部が白くなっているが、そのすぐ左手の上河内岳以南は冠雪はまだらしい。
宿でいただいた小さな蜜柑を食べると山頂を後にする。広い尾根には今度はダケカンバの樹林が広がるようになる。次のピークにかけての鞍部が近づくと尾根は二重尾根となる。二重尾根の間には苔の草原が広がっており、カエデの樹々の紅葉と鮮やかコントラストを見せてくれる。
アップダウンの少ないなだらかな尾根が続き、ダケカンバの目立つ低木の樹林を進む。やがて尾根が大きく東向きに方向を転じるとやせ尾根の登りとなり、大平沢の頭のピークにたどり着く。小ピークを一つ乗り越えて、新窪乗越が近づくと、いよいよ大谷嶺の崩壊斜面が目の前に迫る。
新窪乗越からはいよいよ大谷崩の崩壊斜面の縁を歩いてゆくので眼下に大谷川の谷間とその先に安倍川流域の壮大な展望が広がる。目の前のピークを登れば大谷嶺の山頂かと思っていたが、斜面の先に見えていたのは山頂の手前の偽ピークであった。山頂は樹林をもうひと登りしたところだ。
大谷嶺の山頂から南アルプスの写真を撮ろうとしたところでカメラのバッテリーがなくなる。ここから先はそれほどの展望ポイントはないだろと思っていたのだが、後で思わぬ悔恨の事態に遭遇することになるのだった。
新窪乗越に戻ると三人組のパーティー、1組は若者達の男女のグループでトッポギを茹でていた。どうやらチゲスープを作るらしい。若者達の間から「美味しそう〜」という歓声が聞こえてくる。
大谷崩の崩壊斜面を下る。先行する男性が立ち止まって、斜面に向かってカメラを構えている。何かと思えば何とすぐ近くの斜面にはカモシカがいるではないか。私はかつて丹沢で出遭ったことがあるが家内はカモシカに出遭うのは初めてだ。カモシカは鹿と違って警戒心が少ないせいかなんとも可愛らしい表情でじっととこちらを眺めている。今回は望遠レンズも携えてきていたにもかかわらず、バッテリー切れで写真を撮ることが出来ないのがなんとも無念であった。
ガレ場の下降が終わると自然林の広がる沢沿いを下って駐車場に到着する。振り返ると稜線にはすっかり雲の中がかかっていた。ここからは延々と車道を下ることになる。車を停めた分岐まで後1kmほどというところで、先ほどの若者達が車で通りがかり、ご親切にも「乗って行きますか?」と提案して下さるが「あとわずかなので」と辞退して、周回を完遂することにした。
下山後は黄金の湯に立ち寄って静岡駅に向かう。安倍川の川沿いが大きく開けて茶畑が広がるようになると深い山あいから平野への風景の変化が劇的だ。秘境と呼ばれる安倍奥の樹林と展望の魅力を堪能した二日間であった。
コメント
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ゆったりした風景ですね
カモシカ 飼育されている個体しか見たことがありません
📷23 標識の下の白骨?が気になりました
>カモシカ 飼育されている個体しか見たことがありません
カモシカが飼育されている動物園も意外と少ないらしいですね。
京都にはいないようです。
>📷23 標識の下の白骨?が気になりました
さすがdetailによく気がつかれますね。
私達も当然の如く気になりました。
あとは推して測るべしです。
白骨、スルーされてたので、「えっ!」となり、新手の何かかと思いましたよ(笑)。
ツッコミが入って安心しました。
それにしてもシュールですね。ちょっと怖い。
頭蓋骨の大きさや長管骨の長さからすると仔鹿のものかと思うのですが、確かにシュールですね。
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