金目川左俣[ジャクズレ沢]遡行


- GPS
- 09:57
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 1,104m
- 下り
- 1,233m
コースタイム
天候 | 曇り一時雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
日本が華々しかった時代に築かれたこのような道路は、各地で沢を破壊し、遡行価値を喪失・減衰せしめたが、逆にそのお蔭で入渓出来るようになった沢も少なくないのが事実である。 現在は小国郷土の森もあまり手入れされていないようであり、殆ど役には立たないこの町道がいつまで維持されるかも分からない。行けるうちに行っておくべき沢だろう。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・在所平橋の左岸から沢に降りたが、右岸からも降りられそうである。 ・入渓してすぐに多少のゴルジュはあるが、とくに問題はない。その先、左俣出合直前の2連瀑までは、非常に長いゴーロ歩き。 ・魚止滝とされる2連瀑は下段の方が難しい(IV-)。上段はシャワーを浴びる。 ・左俣に入っても暫くはゴーロと容易な小滝のみ。 ・1つだけ3m程度なのに厄介な滝があり、右岸をきわどいトラバースで越えた(V-)。下部の核心だと思う。水流右の凹角から登っている記録も見かける。 ・この厄介な滝を越えると有名な井戸底状ゴルジュとなるが、技術的に難しいところはない。 ・井戸底状ゴルジュが終わると10m近い滝がいくつか出てくるが、快適に直登できる。 ・2条11m滝のすぐ上で左に落ちる3段16m滝は直登できそうにも見えるが、恐らく取り付いてみると難しい系。右から容易に巻けるので普通は巻く。 ・ゴーロを経て右に現れる8m滝は、シャワーを浴びるしそこそこ難しいのでロープを使った方が良い。 ・小滝を2つ越えると、2段17m滝となる。この滝は、この沢を紹介した日本の渓谷96で左岸から高巻いているためか、左岸から高巻く人が多いようだが、右岸から巻けば多少高度感はあるものの、ぴったり落口に出る。 ・左から水量豊富な湧水があり、水分補給に良い。 ・奥の二俣の下にある10m滝の直登は厳しく、巻きも悪い。今回は左岸から小さく巻いて落ち口に出たが、ロープを使用した。この滝は、2段17m滝から高巻を続けることでパスしている記録が多い。 ・登山道にスムーズに出るためには、奥の二俣は左へ入る。 ・左沢へ入ると小滝が連続するが、どれも直登可能で楽しめる。水は意外に涸れない。 ・最後は藪漕ぎ十数分で登山道に出る。 ・登山道はしっかり整備されており特に難所はない。 ・携帯電話の電波は370m辺りまで下らないと入らないので、タクシーを呼ぶなら稜線で電話しておく方が良い。 |
その他周辺情報 | ・道の駅関川の温泉に行ったが500円のわりに充実した施設で良かった。 ・下山してから入渓点に戻るためのタクシー代は6000円だった。(メーターは使うが交渉制) |
写真
装備
備考 | ・アブの襲撃が激しく、防虫ネットが役立った。 ・ラバーソール適 |
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感想
【計画の経緯】
今年度の会の夏合宿は朝日とのことで、リーダーを拝命し、2泊3日の計画を立てていたが、あいにくの天気予報。悩んだ末、初日は南木曽へ転進。しかし朝日への思いは捨てられず、天気予報がそれなりに良くなったのを確認して、大移動。だが朝起きてみると、最終日3日目の天気が悪そうになっているではないか。ということで結局、朝日の1泊2日沢の中では割とメジャーで特徴的なゴルジュがあるというこの沢へ行くことにした。
【遡行】
在所平橋までの道は多少荒れていたが、奥まで入れないという情報をどこかで見た気がする割には普通に通れてラッキー。なぜかこの橋の上には蛾の死骸がかなり多く、不思議に思った。この時点ではアブはさほど多くなかったので、まあ大丈夫なのかなと思い、斜面を下って入渓。
入渓して暫くすると、懸念した通り、物凄い量のアブがまとわりついてきて、最悪。慌てて防虫ネットを被るが、ネットの隙間から入ってきたり、ネットの上から嚙まれたりと、全く落ち着かない。オニヤンマステッカーもハッカ油もディート系虫よけも大して効かず、仕方がないので猛烈なスピードでゴーロ歩きをこなしてさっさとこのアブだらけ地帯を抜けようとする。
ゴーロ歩きの遅いメンバーもいなかったので、長い長いと思いながらも時間的には大して経たずに左俣出合に着いたが、まだまだアブは多い。どこまで行ってもこんな感じならもうこんな沢で泊まりたくないよね、という話になり、日帰りを目標にし始める。
簡単な小滝はどんどん越えていったが、最初の関門となったのが3m樋状滝。tamoshimaとchelsea620(K坂)はきわどい右岸トラバースで何とか越えたが、ON澤がどうにもならずに、釜と側壁を行ったり来たりして右往左往。結局、ハーケンを1本打ってA0しながらトラバースしてもらった。
その先でいよいよこの沢の名所、井戸底状ゴルジュ。確かに凄いゴルジュだが、易しいし、アブに追われてさっさと通り抜けてしまったので、ちょっと物足りなかった。まあ、一見の価値はあると思う。
2条11m滝と3段16m滝の連瀑はロープも使わずにさらっと越えて、8m滝はtamoshimaがフリーソロした後お助け紐使用。2段17m滝は、遡行図をもっていかなかったので本能に従った結果、定石とは異なる右岸巻きを選択。藪っぽいが難しくはない巻きで落ち口へ。すぐに冷たくて美味しい湧水があり水分補給。
その先の9m滝はガバが多く快適で、さらに小滝を1つ越えると10m滝。これは見るからに難しそうな滝で、最初直登しようかとロープを出してtamoshimaが取りついてみたが、岩が全部逆層なので取りやめ。そのままtamoshimaリードで左岸巻きに入ったが、登った後のトラバースでスタンスが乏しく難しかった。フォローの2人はこのトラバースがうまく出来ず、大きめに高巻こうとしてロープの流れと合わず、苦労していた。トラバースでのロープの使い方は難しく、もっと後続に配慮する必要があるが、難しいとそれどころでもなかったりする。
滝上はすぐに奥の二俣だったが、左沢の水量が予想以上に少なく、不安になり右沢に少し入ってみたが、やはり間違いなかったようなので戻って左沢に入る。左沢は、地形的には厳しい滝が多そうだったが、意外にも快適に登れる滝ばかり。ロープも使わずにぐんぐん標高を上げていき、源頭部へ。最後は急傾斜でしかも藪がきつく辛かったが、後で振り返ればそんなに長くなかったような気がする。
そうして登山道に出たが、ガスっていて、景色も見えないので祝瓶山には登らず下山することに。途中、会の別パーティが登っている荒川中俣沢に大きな雪渓が見え、大変そうだなぁと思った。
1泊2日で登られることが多い沢を日帰りでやっているのと、沢では終始付きまとってきたアブのせいで肉体的にも精神的にも疲れており、ゆっくり下山したが、聞いていた話と違い、登山口では電波が入らない。停めてあった会の別Pの車に乗れればなんて思いつつ、また増えてきたアブに悩まされながら、どこまで行けば電波が入るのかもわからず車道を歩く羽目に。非常につらい。
とはいえ暫く歩いたところで都合よく「携帯通信可能地点」とかいう立札があり、ここぞとばかりにタクシーを呼んだ。これで一安心。集落まで下ったところで歩くのはやめ、アブを潰しまくって時間を潰し、漸くやってきたタクシーに乗ってまた在所平橋へ。
悪路のためタクシーは在所平橋までは入れなかったが、手前1kmくらいまでは入ってくれた。大変ありがたい。荷物を置き、ON澤様に車を取りに行ってもらった。それを待っている間、ここで、最初の蛾の死骸の謎は解明した。昆虫の灯火採集の方が来て、話したところ、この道路は灯火採集のメッカなのだそうだ。あの橋の上もポイントらしいので、灯火にやってきた蛾があそこで死んでいるのだろう。
最後にすっきりして、日帰りで無事終えられた満足感と共に、この地を後にした。
【総評】
有名な井戸底ゴルジュは確かに一見の価値があるが、技術的に面白いものでもないし、そこまでのゴーロが長すぎる。登れる滝は多く、詰めも長くはなく、下山も短いので悪くはないが、首都圏からわざわざ行くほどの沢でもないような気がする。なお、今回はかなり早く遡行したため朝遅めでも日帰りできたが、通常の遡行スピードでも朝早出すれば日帰り可能と思われる。滝が多いので日帰りの軽い装備でガンガン登る方が良いと思う。
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