青葉山☆古刹と春の花々を訪ねて


- GPS
- 04:09
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 684m
- 下り
- 673m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
中山から高野への古道は荒廃しており、ここが一番の難路 青葉山の登山路は特に危険箇所もなく、良好に整備された一般登山道 |
写真
感想
前日からの大日岳から大御影山へと辿るテン泊山行から下山後、若狭街道を西に向かい青葉山に向かう。青葉山を縦走するには東側のハーバルヴィレッジか西側の松尾寺から登り周回することになるが、いずれにせよ山麓のロード歩きが長い。天気予報は日中の気温の上昇を告げているので、登る前に下道歩きを済ませたいところだ。
青葉山は京都と福井の県境に跨る山であり、緊急事態宣言の発令下においては京都側の松尾寺から登ることにしようかと考えたが、それはあくまでも表層的な問題にすぎないだろう。山行後に訪れたいところがあったのと、登山口に早くアプローチしたかったこともあり、東側のハーバルヴィレッジに向かうことにする。
登山口の周辺にも路駐している車が散見するが、既に下山された方がおられたからだろうか、丁度一台分のスペースが空いていたので、登山口の駐車場に車を停めることが出来る。天気予報では日中はかなり気温が高くなりそうなので山行前に下道を歩いて西峰の登山口である松尾寺に向かうことにした。
舗装路を歩き始めると、すぐにも「高野」と記された古道の道標と右手に分岐する小径が現れるので、古道を辿ることにした。小径に入ると途端に樹林の中に入り、一瞬にして異次元に入ったかのような錯覚を覚える。林は突然開けたかと思うと一面のシャガの大群落が現れ、まるでお伽話の世界のようだ。問題はここで小径が突然、消えていることだ。よくよく注意深く見てみると小道はどうやらシャガの群落の中に入って行くようだ。
シャガの群落の向こう側に古道が続いていることを期待して、シャガの中を進むと、確かに群落を越えたところで再び古道が現れる。かつては集落を結ぶ生活路だったのだろうが、通る人が絶えて久しいのだろう。道は倒木でかなり荒れている。
あくまでも踏み跡は明瞭なので倒木を跨いだり潜ったりしながら先へと進む。しかし、今度は竹藪が現れると、倒竹が多く現れる。そのうち再び古道が忽然と道路に出ると、再び現実に舞い戻った感がある。
舗装路を辿ると早速にも単独行の女性とすれ違う。高野の集落に入ると長閑な山村風景が広がり、民家の周辺にはカキツバタやシランなど数多くの花が咲いている。一面を真紅に染めている花は初めて見るものであったがベニバナツメクサらしい。道路からは南側に三国岳の展望が大きく広がる。
集落を抜けて今寺へと向かう。道端には相変わらず数多くのシャガ草が咲いている。今寺の観音堂は建物は倉庫のようなもので、おそらく損壊した古い建物を立て直す余裕がなかったのだろう。観音堂の前に立つ二本の銀杏の樹が立派であった。
好展望を見ながら山麓をトラバースして松尾寺に到着するとさすがは西国三十三観音霊場の一つだ、大勢の人で賑わっていた。しかし駐車場に停められている車の多くは登山者のものだろう。境内を抜けると近畿自然歩道に入り、いよいよ青葉山の西峰を目指す。
登山道に入ると青紅葉の鮮やかさが目を惹く。ところどころで山藤が鮮やかな薄紫色で新録を飾り立てる。登り初めはなだらかな道が続き、意外にも早く山頂に近づいたように思われる。しかし、高度400mあたりからわずか500mほどの間に一気に標高を250mほど登ることになるのである。
さざれ石が多い。大きなさざれ石ならぬ岩に掛けられた長い階段が現れるが岩にはよくみると足をかけるためのステップも刻みこまれている。階段が登場する前のこの石を登り降りした時の名残なのだろう。岩にはホールドも多いので直登する。
予想はしてはいたがやはり数多くの登山者とすれ違う。当方はマスクをして登っているが、マスクをされている登山者はほとんどいない。家族連れや普段はあまり登山をしていなさそうな若者達が目立つ一方、いわゆるガチの登山スタイルで登っている人があまりいない。京都府に緊急事態宣言が出されていることもあり、登山が格好のレクリエーションと考えられる方が多いのだろう。
山頂が近くなると急に傾斜が緩くなる。ブナの大樹が次々と現れるようになる。あたりにはミツバツツジが多く咲いている。コバノミツバツツジの赤紫色と異なり色が濃いピンク色っぽいのでトウゴクミツバツツジに思えるが、それにしては花期が早すぎるだろうか。
山頂からは賑やかな人の声が聞こえてくる。山頂にたどり着くと、山頂広場は南側に絶好の好展望が広がるが、昼時であることもあり、数多くの人が休憩されており、休憩場所を探すのも難しそうだ。祠の上の岩場に登ると北側の展望が広がり、眼下に内浦湾とその右手には物々しい高浜原子力発電所のある音海半島が見える。この原子力発電所は40年以上、経過しているらしいが、再稼働を巡って新聞を賑わせているところだ。
続々と人が登ってくるのでここでゆっくりしているわけにもいかない。狭い岩場の上ではすれ違うのも困難だ。早々に岩場を降りると西峰を後に東峰への吊尾根に入る。
吊尾根ではイワカガミ、スミレはもとよりイカリソウ、エンレイソウ、ヤマルリソウ、ハルリンドウなど次々と花が現れる。イカリソウは普通によく見かける赤紫色のものも多いが、ところどころで白い花も咲いている。そして圧巻は山芍薬の群落であった。尤も山芍薬は登山路から少し外れたところで咲いているのだが。
東峰は西峰のような広い展望はない。しかし、東側の岩場の上からは西峰からは見えなかった舞鶴湾の展望がよく見えるのだった。
東峰からの下山路はずっと木の階段が続く。特筆すべきはブナの大樹が続くことだ。かなり標高が低いところまでブナが見られるのはさすがは若狭の山だ。
尾根の下部になると過ぎると植林帯に入る。下るにつれ登山道の周囲には再びシャガが多く見られるようになる。登山口が近くなり、ふと右手の林の中をみると、ここでも一面のシャガの大群落が現れる。
登山口に降りると車は少なくなってはいたが、まだ半分近くの車が残っている。近くのハーバルヴィレッジの駐車場に車を停めている人達もいるようだ。
今回、この中山登山口から出発したのは下山後に中山寺を参詣するという目的のためであった。折しも中山寺では秘仏の馬頭観音を公開しているところだった。三十三年に一度公開するものだが、十七年目にも中開帳を行うらしい。本来は昨年の公開予定だったところがコロナ禍で一年延期して今年に公開しているとのこと。公開の情報はホームページにしか載せていないせいもあり、ほとんど人には知られていないらしい。
松尾寺と違ってこちらは訪れる人も疎らで、境内は森閑としていた。中山寺の山門はガラス張りになっており反射で中がよく見えなかったために一度は通り過ぎてしまったが、ガラスの中を覗き込むと迫力ある仁王尊像が睨みを利かせているのだった。
中山寺のホームページ
http://nakayamadera.jp
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