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Yamareco

記録ID: 263382
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
蔵王・面白山・船形山

北蔵王 雁戸山

2013年01月23日(水) [日帰り]
情報量の目安: S
都道府県 宮城県 山形県
 - 拍手
体力度
3
日帰りが可能
GPS
--:--
距離
10.7km
登り
983m
下り
978m

コースタイム

10:15 関沢IC冬期閉鎖ゲート前
11:00 八丁平
12:40 カケスガ峰
13:15 蟻の戸渡り直下
14:05 雁戸山(北雁戸)
14:50 蟻の戸渡り直下
15:15 カケスガ峰
16:10 八丁平
16:40 関沢IC冬期閉鎖ゲート前
天候 晴れ
過去天気図(気象庁) 2013年01月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
山形自動車道 関沢ICを降り右折。
笹谷峠方面へ。
冬季閉鎖ゲート前に駐車帯があります。
(10台程度駐車可能)
コース状況/
危険箇所等
○関沢ゲート〜八方平
 関沢の冬期閉鎖ゲートから雪で覆われた道路を歩きます。
 そのまま道路を歩いて笹谷峠経由で八丁平へ行くのも良いですが、
 ゲートから少し行った先で八丁平へ真っすぐ続く登山道を利用した方が近道。
 この登山道は沢の左岸沿いをしばらく進んだ後で渡捗し、鉄塔の並ぶ尾根上の道に出ます。
 初見の場合は、トレースが無いと渡捗点が判りにくいかもしれません。
 滝を越えた先の対岸に幹線の看板があるので、それを目印にして渡捗して下さい。
 渡捗後は山側へ進み、やがて鉄塔が立ち並ぶ尾根状の道に出るので、あとは鉄塔を辿っていけば八丁平へ到着します。
 
○八丁平〜カケスガ峰
 八丁平から先は眺望の無い樹林の道。
 例年であれば樹林の中にピンクリボンが点在しているので道は判りやすいのですが・・・
 今回歩いたルート上には一切見当たりませんでした。
 (別方面に付いていたのかもしれません)
 目印が無いと迷いやすいので、コンパスやGPS等で方向を確認しつつ進んで下さい。

○前山〜北雁戸山
 前山から先は難所続きで、10本爪以上のアイゼンとピッケルが必要。
 急斜の登下降や、両側が切れ落ちたナイフリッジ歩きが続くので、
 雪の状態が悪かったり、悪天下の場合はかなり厳しいルートになります。
 下記の3箇所が特に危険に感じる箇所でした。
 
 1.蟻の戸渡り直下
  高さ10mくらいの急登。
  このルート上では一番の急登で、遠くから見ると雪壁のように見えます。
  (蔵王連峰の登山道では一番の急登かも?)
   雪の状態次第では非常に危険。滑落注意。
 2.蟻の戸渡りの先にあるロープ場
  4m位の高さの岩雪ミックスルートで、雪付きが悪いのでキックステップが出来ません。
  ロープの途切れた上部1m部分の通過が難しく、今回のルート上ではここの下りが一番緊張しました。
  もう少し雪が付けば通過が楽になるかと思います。  
 3.北雁戸山直下
  蟻の戸渡り直下に比べれば傾斜は緩いですが、登る距離が長いです。
  ここを登り切れば北雁戸山頂上ですが、上部に行くにつれて傾斜がきつくなり、
  スリップすれば相当な距離を滑落するので、最後まで気を抜かぬように。
山形自動車道にて。
この時期には珍しい快晴の空。
雁戸山の険しい山容もはっきり見える。
2013年01月23日 21:51撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 21:51
山形自動車道にて。
この時期には珍しい快晴の空。
雁戸山の険しい山容もはっきり見える。
笹谷街道を少し進んだ先にて八丁平へ続く登山道へ入る。
2013年01月23日 21:52撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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笹谷街道を少し進んだ先にて八丁平へ続く登山道へ入る。
沢の左岸沿いを進んでゆく。
この滝の先にて渡渉する。
2013年01月23日 22:26撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 22:26
沢の左岸沿いを進んでゆく。
この滝の先にて渡渉する。
沢の渡渉点。
2013年01月23日 21:52撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 21:52
沢の渡渉点。
八丁平への登山道にはトレースが続く。
笹谷峠のシンボルの鉄塔群が見えてきた。
2013年01月23日 21:53撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 21:53
八丁平への登山道にはトレースが続く。
笹谷峠のシンボルの鉄塔群が見えてきた。
真っ白な鉄塔。
2013年01月23日 21:54撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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真っ白な鉄塔。
八丁平。
数日前のトレースが残っている。
2013年01月23日 21:55撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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八丁平。
数日前のトレースが残っている。
真っ白な電波塔。
2013年01月23日 21:56撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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真っ白な電波塔。
トレースを辿って樹林帯へ。
2013年01月23日 21:56撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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トレースを辿って樹林帯へ。
樹林の中を進む。
眺望は開けず、ピンクリボン等の目印も無いがトレースのお陰でルートは判りやすい。
2013年01月23日 21:57撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 21:57
樹林の中を進む。
眺望は開けず、ピンクリボン等の目印も無いがトレースのお陰でルートは判りやすい。
カケスガ峰手前まで来ると眺望が開けてくる。
振り返り、神室岳方面を眺める。
2013年01月23日 21:58撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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カケスガ峰手前まで来ると眺望が開けてくる。
振り返り、神室岳方面を眺める。
遠方の朝日連峰も見えた。
山側は快晴なのに、山形市の平野部は雲で覆われている。
いつもとは逆パターンだね。
2013年01月23日 21:58撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
3
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遠方の朝日連峰も見えた。
山側は快晴なのに、山形市の平野部は雲で覆われている。
いつもとは逆パターンだね。
カケスガ峰手前。
周辺では所々で樹氷が見れる。
2013年01月23日 21:59撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 21:59
カケスガ峰手前。
周辺では所々で樹氷が見れる。
立派に育った樹氷。
2013年01月23日 22:00撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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立派に育った樹氷。
カケスガ峰より、雁戸山方面を眺める。
2013年01月23日 22:00撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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カケスガ峰より、雁戸山方面を眺める。
前山へ続く尾根上を進む。
意外に雪が深い。
2013年01月23日 22:01撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:01
前山へ続く尾根上を進む。
意外に雪が深い。
北雁戸山が迫って来る。
2013年01月23日 22:02撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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北雁戸山が迫って来る。
北雁戸山を拡大。
2013年01月23日 22:03撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:03
北雁戸山を拡大。
更に近づく。
緊張してくるなぁ。
2013年01月23日 22:03撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:03
更に近づく。
緊張してくるなぁ。
蟻の戸渡り直下に到着。
ここからが核心部。
ワカンからアイゼンに履き替えて先へ進む。
2013年01月23日 22:04撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:04
蟻の戸渡り直下に到着。
ここからが核心部。
ワカンからアイゼンに履き替えて先へ進む。
蟻の戸渡り直下を登る。
気温が高いせいか、雪が柔い。
強めのキックステップで登ってゆく。
2013年01月23日 22:06撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:06
蟻の戸渡り直下を登る。
気温が高いせいか、雪が柔い。
強めのキックステップで登ってゆく。
急斜を登り切り、蟻の戸渡りに到着。
背後を振り返る。
2013年01月23日 22:06撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:06
急斜を登り切り、蟻の戸渡りに到着。
背後を振り返る。
蟻の戸渡りから先に進むとロープのある岩場が現れる。
岩雪のミックスルートで、雪が浅いのでキックステップは出来ない。
ロープが途切れた上部の通過が難しい。
2013年01月23日 22:07撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:07
蟻の戸渡りから先に進むとロープのある岩場が現れる。
岩雪のミックスルートで、雪が浅いのでキックステップは出来ない。
ロープが途切れた上部の通過が難しい。
ナイフリッジの稜線上を進む。
所々で雪庇が目に付くが、まだそれ程発達していないようだ。
2013年01月23日 22:08撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:08
ナイフリッジの稜線上を進む。
所々で雪庇が目に付くが、まだそれ程発達していないようだ。
エビの尻尾がびっしり。
大きなインコが止まっているみたい。
2013年01月23日 22:09撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:09
エビの尻尾がびっしり。
大きなインコが止まっているみたい。
十字の道標。
確か、去年のレコでもこの道標を載せたなぁ。
2013年01月23日 22:09撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:09
十字の道標。
確か、去年のレコでもこの道標を載せたなぁ。
北雁戸山への最後の登り。
蟻の戸渡り直下に比べれば傾斜は緩いが、登る距離が長い。
上部の傾斜がキツイので滑落注意。
2013年01月23日 22:11撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:11
北雁戸山への最後の登り。
蟻の戸渡り直下に比べれば傾斜は緩いが、登る距離が長い。
上部の傾斜がキツイので滑落注意。
もうすぐ頂上。
2013年01月23日 22:11撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 22:11
もうすぐ頂上。
北雁戸山に到着。
2013年01月23日 22:12撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:12
北雁戸山に到着。
山頂標識もエビの尻尾で覆われている。
2013年01月23日 22:15撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:15
山頂標識もエビの尻尾で覆われている。
蔵王ダム。
凍って真っ白だ。
2013年01月23日 22:16撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:16
蔵王ダム。
凍って真っ白だ。
頂上より、熊野岳方面を眺める。
あちらも天気は良さそう。
2013年01月23日 22:13撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:13
頂上より、熊野岳方面を眺める。
あちらも天気は良さそう。
歩いてきた雁戸山の稜線。
登頂した者だけが見れる素晴らしい光景だ。
2013年01月23日 22:17撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:17
歩いてきた雁戸山の稜線。
登頂した者だけが見れる素晴らしい光景だ。
南雁戸へ続く道。
2013年01月23日 22:13撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:13
南雁戸へ続く道。
南雁戸山方面。
北雁戸への道と同じくナイフリッジが続く。
2013年01月23日 22:15撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:15
南雁戸山方面。
北雁戸への道と同じくナイフリッジが続く。
南雁戸山を拡大。
あそこまで行きたいけど時間が無くて無理。
もっと早く入山してたらなぁ…
2013年01月23日 22:14撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:14
南雁戸山を拡大。
あそこまで行きたいけど時間が無くて無理。
もっと早く入山してたらなぁ…
山頂を後にし、来た道を引き返す。
2013年01月23日 22:17撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
7
1/23 22:17
山頂を後にし、来た道を引き返す。
振り返り、北雁戸山をもう一度眺める。
2013年01月23日 22:19撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:19
振り返り、北雁戸山をもう一度眺める。
自分の残したトレースを辿り稜線上を歩く。
2013年01月23日 22:19撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:19
自分の残したトレースを辿り稜線上を歩く。
更に進む。
2013年01月23日 22:20撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:20
更に進む。
蟻の戸渡り直下に戻ってきた。
雪が柔いので慎重に下る。
2013年01月23日 22:20撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
1/23 22:20
蟻の戸渡り直下に戻ってきた。
雪が柔いので慎重に下る。
ワカンをデポした場所まで戻ってきた。
ここまでくれば、もう安全。
2013年01月23日 22:21撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:21
ワカンをデポした場所まで戻ってきた。
ここまでくれば、もう安全。
雪で覆われた樹木。
良い雰囲気。
2013年01月23日 22:21撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:21
雪で覆われた樹木。
良い雰囲気。
樹氷になりつつある樹木。
2013年01月23日 22:22撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1
1/23 22:22
樹氷になりつつある樹木。
雁戸山を何度も振り返りながら下山する。
2013年01月23日 22:22撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:22
雁戸山を何度も振り返りながら下山する。
カケスガ峰が見えてきた。
2013年01月23日 22:23撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:23
カケスガ峰が見えてきた。
カケスガ峰にて、北雁戸山を撮影。
西日が当たって東面が白く輝く。
2013年01月23日 22:24撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
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1/23 22:24
カケスガ峰にて、北雁戸山を撮影。
西日が当たって東面が白く輝く。
陽が沈んできた。
早く帰らないと…
2013年01月23日 22:24撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:24
陽が沈んできた。
早く帰らないと…
八丁平まで戻ってきた。
2013年01月23日 22:25撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 22:25
八丁平まで戻ってきた。
斜陽に照らされた八丁平の雪原。
2013年01月23日 22:26撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:26
斜陽に照らされた八丁平の雪原。
陽が沈む中、関沢方面へ下る。
2013年01月23日 22:26撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
1/23 22:26
陽が沈む中、関沢方面へ下る。
もうすぐ関沢ゲート。
なんとか日没前に下山出来た。
2013年01月23日 22:28撮影 by  EX-G1 , CASIO COMPUTER CO.,LTD.
2
1/23 22:28
もうすぐ関沢ゲート。
なんとか日没前に下山出来た。
撮影機器:

感想

大幅に寝坊してしまい、目が覚めると朝8時過ぎ。
6時に家を出るはずが、2時間も寝坊してしまい、急いで身支度をして家を出る。
山形自動車道では快晴の空が広がっており、目指す雁戸山の険しい鋭鋒が見えてくる。
当初の予定で関沢ゲートから南雁戸山を往復するつもりであったが、この遅出では北雁戸山までが限界か・・・
いや、北雁戸までも無理かも。
昨夜の夜更かしを悔やみつつ、車を走らせる。

出発地である関沢の冬期閉鎖ゲート前に着いたのは10時前。
10台ほどが駐車できる関沢の冬期閉鎖ゲート前は、平日にも関わらず車で一杯だった。
登山者の車もあるが、ゲート手前で案内板の工事作業をしており、その関係者の車両が殆どのようだ。
なんとか1台停められるスペースがあり駐車するが、その後しばらくして1台の車両がやってくる。
その車の運転手は登山者のようだったが、駐車スペースが無いので引き返していった。
もう一歩遅ければ私が引き返す破目になっていただろう。危ないところであった。

ゲートを越え、笹谷街道を進む。
道路上にはトレースが残っており、ツボ足でも歩き易い。
道路をしばらく進んだ先にて八丁平へ続く道へと入ると、新しいトレースがあり、今度はそれを辿って進んでゆく。
八丁平に差し掛かると、そのトレースは私が向かう雁戸山方向とは逆方向の笹谷峠へと向かうが、
雁戸山方面にはそれとは別の古いトレースが続いている。
二日前の21日は晴天だったので、恐らくはその時に付けられたトレースだろう。
雁戸山方面にトレースが残っている事は珍しい。
21日にmokkedanoさんが前山まで歩いたレコを読んでいたので、
きっとこれはその時のトレースだろう、と思い当った。
ここはありがたく利用させて頂く。

八丁平を抜けると、道は眺望の効かない樹林帯となる。
道に目印のピンクリボンは付いて無かったので、本来であればルートファインディングに苦労させられただろうが、
トレースのお陰で全く問題無し。
雪も深いので、このトレースは非常にありがたい。
トレースのお陰で順調に樹林を抜け、やがてカケスガ峰へと到着した。

カケスガ峰に立てば、ようやく目指す雁戸山の険しい稜線を見る事が出来る。
この日は、天気が良く、風は弱かった。
その好天下で見る雁戸の鋭い稜線は、実に美しい。
これからあの稜線上を歩くのだ、と考えると気分が昂ぶる。
しかし、もしこの日が悪天であれば、そんな気持ちは起こらなかっただろう。
悪天下で見る冬の雁戸山は魔の山だ。
人を寄せ付けないような威圧感を放ち、あんな場所に人が立ち入って無事でいられるのだろうか?
そんな不安を感じさせられた事が、これまで幾度もある。

蟻の戸渡り手前にて、これまで履いていたワカンを外しデポする。
そしてアイゼンを付け、ピッケルを取り出す。
ここから先は、ピッケルとアイゼンの世界。
南雁戸山までの稜線上は、スリリングなナイフリッジと急斜の登りが続く核心部となる。
最初は蟻の戸渡り直下の急登。
雪の状態を確認しながら、キックステップで登ってゆく。
この日の気温は高く、13時時点での稜線上気温は3〜5℃位。
雪が柔いのでステップが崩れやすく、かなり強めに蹴り込まないと危ない状態だった。

蟻の戸渡りまで登り切り、両側が切れ落ちたナイフリッジの稜線上を進む。
風が弱いので煽られる心配は無いが、雪がクラストしておらず柔い状態。
膝下まで埋まる雪量で、笹藪や灌木の踏み抜きに悩まされる。
ここはナイフリッジ上なので、踏み抜いてバランスを崩して倒れこんでしまえば、
そのまま滑落に繋がる恐れがある。
一歩一歩慎重に、いつ踏み抜いても大丈夫なように、気を配りつつ歩いてゆく。

そして14時、北雁戸山に到着。
到着した時は若干天気は下り坂で快晴の空では無かったが、雲は高く視界は開けている。
前々回の北岳、前回の日光白根山では、山頂からの眺めはガスで真っ白だったので、
久々の眺望がある山頂だ。
周囲の景色はどこを見ても素晴らしいが、その中でも特に感動的なのが、これまで歩いてきた稜線の光景だ。
その稜線上には自分のトレースが残っており、それはこの険しい道を踏破した、という証。
雁戸山の頂きに立った者だけが見れる、登頂の満足感に浸れる光景だ。

南の方角へ目を移せば、そこには南雁戸山がそびえ立つ。
あそこまで行きたいものだが・・・でも、時間はもう遅い。
ここから更に南下し、南雁戸山へ。そしてその先にある八方平の樹氷原。
そこまでの道が、自分の考える積雪期蔵王連峰の最高の登山ルートだ。
往復するには2日は要するので今日はとても無理であるが、今期中にぜひとも歩きたいものだ。
来月の天気に期待しつつ・・・
あ、でも天気が良かったら、南蔵王の馬ノ神岳にも行きたいなぁ。
どちらにしようか?
そんな事を悩みつつ、関沢方面へと下山する。

寝坊はしてしまったけど、今年も雪の雁戸山に登れて良かった。
それもこれも、mokkedanoさん達のトレースのお陰だろう。
あのトレースが無かったら、時間内に登頂する事は出来なかったに違いない。
ありがとうございました。

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コメント

神々しい空間ですね
Luskeさんならではの素晴らしいレコです。
冬の雁戸はかなりの技術・体力が要求される特別な世界と聞いています。
画像を拝見すると、まさにそのとおり。限られたエキスパートだけが目にすることができる世界を光景をアップしてくださったLuskeさんに感謝です。
気温が高くあまり良いコンディションではなかったようですが、fugusumaさんと作った私達のトレースが登頂のお役に立ったようで嬉しく思います。
今回も興味深く記録を拝見致しました。次回も楽しみにしていますね

そう言えば私も樹林帯のテープやリボンが見当たらないのが気になっていました。木に付いた雪で見えなかったのか、それともルートが異なっていたのか…。
2013/1/25 0:38
トレース、ありがとうございました
mokkedanoさんとfugusumaさんのトレースにはとても助けられました。
改めてお礼申し上げます

テープやリボン、今回無かったのがちょっと不思議ですね。
自分も探しながら歩いたのですが、一つも見つかりませんでした。
目印の位置は年によってまちまちで、もっと宮城寄りにつけられているケースも過去にありました。
もしかしたら、そちらにあったのかもしれませんね。

冬の雁戸山、私としては、蔵王で一番素晴らしい山域だと思います。
自宅からは南蔵王の方が近いので、そちらに足を運ぶ事が多いですが、もし北蔵王近辺に住んでいたら、冬は毎週雁戸山に通っていたかもしれません(笑)

しかし、場合によっては危険と隣り合わせにもなりうる山。
誰もが行ける山、ではありません。
ですが、だからこそ見る事が出来る特別な光景がそこにはあります。
それはまさに、神々しい、という言葉が相応しいです。
mokkedanoさんにもその光景を直に見て頂きたいものだと思います。

雪の状態、
風の強さ、
視界、
これらの条件が良ければそれ程技術的には困難ではありませんが、どれか一つでも欠けると難度が格段に上がります。
好条件の時を狙って、いつの日か白く輝く雁戸の頂きに立たれる事を願っております
2013/1/25 1:33
東北のビアンコグラート
Luskeさん、こんばんは。
昨年の年末に録画していたNHKのグレートサミッツを見ていまして、スイスのベルニナの回を思い出しました
その白銀に輝く尾根、ビアンコグラートはアルプス最高と賞されるそうです shine

たおやかな山容が多い東北にあって、"蟻の戸渡り"と呼ばれるこの尾根は惹き付けられるものがありますね

地元の方でも天候の読みは難しそうですから、僕はただただLuskeさんや、mokkedanoさんの記録を拝見しては、ため息をつくばかりです

次回の馬ノ神岳のレコも楽しみにお待ちしております。

僕の今冬の山行?は屋根の上に登って雪下ろしをして、おしまいになりそうな予感がします
冬は休日出勤が多く、休みがなかなか取れないのです
いつの日かLuskeさんのレコを頼りに僕も厳冬の蔵王へ
2013/1/25 21:40
雪下ろし、ご苦労様です
ビアンコグラート、じつは私知らなかったので、どんな山なのかネットで先程調べてみました。
調べてみると多くのサイトがヒットしたのですが、
美しい稜線に、目が釘付けになりました
雁戸の稜線を思わせる美しい稜線の数々。
海外の山は金銭的な面を含め敷居が高いですが、いつか登ってみたい、と思いました。

雪おろし、ご苦労様です。
この時期の秋田は雪深く、毎日大変でしょうね^^;
私の住む宮城はあまり雪は降らないので、雪下ろしとは無縁なのですが、
実家の山形は雪が多く、たまに両親から、「雪おろし手伝いに帰ってこい。」なんて連絡が来る事があります。
ですが、雪下ろしには慣れていないもので・・・
実際にやってみると、下手な雪山より怖く感じます
それを日々やっているtooleさんは、雪山には登っていなくても十分なトレーニングになっているのではないでしょうか^^b

お仕事も忙しい時期のようですが、くれぐれにも体にはお気を付けて。
そして、貴重な休みがとれた時は冬の蔵王、如何でしょうか。
今回の雁戸山は地形が険しいので山スキーには向きませんが、
笹谷峠から北の山形神室方面、そして中央/南蔵王あたりは山スキーの宝庫であります。
2013/1/26 14:01
Luskeさん、こんばんは
今回はいい眺めでよかったですね。
前回と違い青空も見えていたようなのでバッチリ

雁戸山頂からの光景はコメントにもあるように素晴らしいですね。
あの稜線だとかなり気を使いながらの登頂だったのではないでしょうか?
そんなところにもサクッと行けてしまうところがまたすごい!!

今期中に南雁戸山、八方平の樹氷原まで行けるといいですね。
天気が味方になってくれることを祈っています。
2013/1/30 23:19
山頂は大展望
Webberさん、こんばんは

今回は久々に山頂からの景色を堪能できる登山でした
良い時に登れた事を、とても満足しております。
心残りなのは、この日の天気は午後よりも午前中が良かった事。
文中でも言ってるように、「もっと早く入山してたらなぁ・・・」
と悔やまれますが、あまり欲張ってはいけませんね^^;

雁戸の稜線はヤセ尾根で、この日は雪の状態があまり良くなかったので気を使う登山でした。
少し雪の付き具合も悪い気がしましたので、雁戸登山は2月がベストかなぁ、と思いました。

今期中に、南雁戸と八方平、ぜひ行きたいものです。
週末の快晴、はたして2月中にあるか?!
ちなみに、今週末はダメっぽいです。。。
来週以降に期待です><b
2013/2/1 0:11
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