菅山寺〜呉枯ノ峰東尾根周回☆廃寺跡の大樹の森に


- GPS
- 02:41
- 距離
- 5.6km
- 登り
- 427m
- 下り
- 426m
コースタイム
- 山行
- 2:40
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 2:42
天候 | 曇りときどき雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
車は4〜5台駐車可 |
コース状況/ 危険箇所等 |
呉枯ノ峰の東尾根はテープはあるが悪路、難路 詳しくは感想にて |
写真
感想
家内か菅山寺のケヤキの樹を見に行きたいというので、湖北の呉枯ノ峰を訪ねることにする。湖西道路を北上すると湖北の山並みが全く見えない。どうやら湖北のあたりは雨が降っているようだ。近江高島を過ぎるとと雨が降り出した。
木ノ本に到着して山行先を変えようとかと思うが、折角木ノ本に来たのだからと、まずは雨の中を富田酒造を訪ねる。吟吹雪と渡船の七本槍を求める。店の奥に長浜の地方誌みーなが並んでいる。数号前のバックナンバーが一冊まるこど菅山寺の特集であった。果たして菅山寺だけで一冊の特集が組めるものだろうかと思うが、果たして何が書いてあるのだろうかという興味にかられ、この号を買ってみることにした。
車に戻るとやはり多少の雨でも菅山寺に行ってみたいと家内が言うので、菅山寺に向かうことにする。R365から菅並方面に向かう県道に入り、ウッディパル余呉を通り過ぎると、その先の大見方面に向かう県道が工事のために通行止めとの表示がある。仕方がないので、木ノ本に戻りR303に入り、川合から大見に周りこむ。
大見いこいの広場に到着すると丁度、雨が上がったようだ。大見いこいの広場の前には医王寺があるが、医王寺の駐車場の案内標がなければ果たしてこれが寺だとは誰も思わないだろう。この医王寺にはかつての住職が近隣の古物商で買い求めたという十一面観音があるのだが、井上靖が絶賛するのも頷ける実に素晴らしい十一面観音だと思う。
大見いこいの広場の受付で訪ねると、キャンプ場の奥の登山口を教えてくださる。駐車場は数台の車が停められる広地となっており、長浜市と記されたマイクロバスが停められていた。
駐車場から先に伸びる林道を歩き始めるとすぐにも道は細い道に変わる。道は良好に整備されているようで、歩きやすい道が続く。植林の斜面をトラバースして谷に辿り着くと、小さな沢を渡って谷沿いを登ってゆく。やがて小さな尾根の九十九折に急登となるが、ところどころに小さなお地蔵様の石仏が現れる。
尾根の上部に達すると忽然とシャガ草が一面に繁茂する平地に出た。かつての寺院の建物の跡のなのだろう。このシャガ草が一斉に咲く季節は綺麗だろう。
菅山寺のある上の方から大勢の人の声が聞こえてくる。どうやら団体のパーティーが訪れているようだ。有名なケヤキのある山門にたどり着くと、丁度、団体がこの山門を後にし本堂の方に向かっていかれるところだった。
門を挟んで屹立するケヤキの樹は、いずれも樹齢1000年ほどの大樹らしく、壮麗な雰囲気だ。右手の一本が幹の中途で樹が折れ、折れた先が右手に横たわっている。後で調べてみると樹が折れたのは2017年の9月のことらしい。もう一本のケヤキの木も老朽のせいだろうか、境内の他のケヤキの木に比べて葉が少ないようだ。倒れずに立っていてくれるっことを願うばかりだ。
山門を奥に進むと、ここでも一面のシャガ草が繁茂している。その奥では木立の中の護摩堂とその右手に立派な銀杏の大樹が目に入る。護摩堂で弁当を食べる。山門のケヤキの大樹があまりにも印象的であるが、この護摩堂の周辺を含め、このあたりの境内には他にもケヤキの大樹が目立つ。
霧が漂う幻想的な雰囲気の境内を本堂に向かう。本堂はいつ倒壊してもおかしくないほどに荒れている。本堂の手前には大きな樅の樹や幹周が10mを超えるアカガシの大樹があり、ここでもこれらの大樹が寺院の歴史を感じさせる。
本堂に向かって左手にあるこじんまりとした堂宇は如法経堂らしい。の寺院の中興の開基とされる専暁上人が宋の国から一切経七千余巻を持ち帰り、それが収められていたらしいが、その一切経は徳川家康の命により芝の増上寺に移管させられたとのこと。
朱雀池に向かうと池の手前にはトチノキの巨木が現れる。朱雀池の近くには池からから流れ出している小さな流れがある。ということは池はどこかから水が湧いているのだろう。この池も土砂を取り除く作業を地元の方がされておられるらしい。池のほとりには先ほどの団体がいらっしゃる。パーティーの方はミーツ・ザ・菅山寺というプレートをつけておられる。
朱雀池を周回すると広々とした谷に大きな樹木が目立ち、なんとも雰囲気のある樹林が広がる。まもなくブナの森と書かれた標識が現れるので、標識に従って左手の斜面を登る。すぐに次々と立派な山毛欅の樹々が現れる。標高は400mほどと思われるが、この標高で山毛欅の樹が現れるというのは他では滅多にないだろう。
再び雨が降ってきた。まもなく菅山寺から登ってくる道と合流し、峠に出る。
呉枯ノ峰へと尾根を辿ると、ここは登山者がしばらく歩いた気配がない、というのも登山道にあまりにも蜘蛛の巣が多いからだ。
本来であれば蜘蛛の巣は鬱陶しいだけなのだが、雨に濡れてネックレスのように水滴がついた蜘蛛の巣はなんとも美しく、繊細な芸術作品のようにも思える。しかし、通行の邪魔になる蜘蛛の巣は、申し訳なく思いながらも木の枝で払わせていただく。
緩やかに尾根を辿り、呉枯ノ峰の山頂に到着する。下山路は山頂から東に伸びる尾根を辿る。この尾根にはおそらく踏み跡があるに違いないと見当をつけていたが、確かに薄い踏み跡とピンクテープがある。尾根上には倒木が多く、薄い踏み跡は藪の下に消えがちではあるが、なんとか踏み跡を辿ることが出来る。気がつくと浅い掘割の古道が現れる。
ca500mのあたりで尾根は二股に分かれ、古道は南に伸びる尾根を下っていくようだが、ピンクテープは北東に伸びる尾根へと続いている。このあたりから急下降の尾根となるが、ca480mでは尾根芯は折り重なった倒木により完全に通行不能だ。左手の斜面に降り、鹿のものと思われる踏み跡をトレースして尾根に戻る。
やがて植林が現れると歩きやすくなるが、植林が切れると再び尾根には藪が現れる。しかし藪といっても踏み跡は辿りやすい部類だろう。p321の手間で尾根がなだらかになると突然、左手の斜面から一般登山道と呼んでも支障ないほどの明瞭な道が現れる。どうやら送電線巡視路のようだ。
まもなく紅白の送電線鉄塔が現れる。まもなく紅白の送電線鉄塔が現れる。送電線鉄塔からは正面に己高山を眺望することができる。眼下にはジオラマのような大見の集落が見える。
鉄塔を通り過ぎて巡視路を下るとca250mのあたりで斜面を東に下ってゆく。大見いこいの広場に戻るためには尾根筋をまっすぐに下降したいところではあるが、巡視路のプラスチック階段につられて急斜面を下降する。
巡視路は高時川の近くまで下ると、川沿いの急斜面をトラバースするようになる。小さな谷を流れる沢に至るがその上流には5mほどの小瀧が落ちていた。沢を渡渉して植林の中を歩くとすぐに林道に出る。林道を歩くとまもなく大見いこいの広場の見覚えのあるキャンプサイトに出るのだった。
下山後は本日のもう一つのお目当て、須賀谷温泉に寄る。コロナのせいが日帰り入浴の時間を15時までに制限しているらしい。温泉に到着したのは15時前であったが、16時までに上がられるならどうぞと入浴させて頂いた。
温泉から上がり、名神高速を京都に向かうと湖南のあたりは晴れ空が広がっている。京都市内に入ると一瞬、夕立のような雨が降るが雨上がりは比叡山の上に大きな虹が現れる。道ゆく人々が皆、虹を見上げているのだった。
たまには山ではなく廃寺を訪ねることが目的の山行もいいものだ。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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こんばんは。
恥ずかしながら全く知らなかった菅山寺。古いお寺で何とも言えない荘厳な雰囲気が漂ってますね。
そして境内のさまざまな種の樹々。いずれも長い年月そこに聳え立っていた大樹ばかり。凄い。
このような神秘的な場所は霧や小雨がよく似合いますね。
下山後の須賀谷温泉、いいですよね。私もお気に入りです。浅井長政やお市の方までも訪れたのではないか、なんて想いを馳せながらゆったりと浸かれる、歴史ある素晴らしい温泉。久々に入りに行ってみよ!
菅山寺は他の多くの廃寺跡戸違って、寺院の堂宇の多くか現在しているのと、境内に多くの大樹があり、独特の雰囲気があるのが魅力的です。登山と思って行くと物足りないかもしれませんが、ここだけでインパクトは十分過ぎるくらいにあります。
この近くの己高山にも有名な飯福寺跡のみならず、山頂近く鶏足寺の跡があります。さらにあまり知られてはいませんが、南尾根の近くにある高尾寺には逆杉という見応えのある杉の巨木もあり、もしも行かれたことがなければ、ここも魅力的なところだと思います。以前、これらの廃寺跡を廻った山行がありますので、リンクを貼らせて頂きます。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-1671383.html
須賀谷温泉は改装前は鄙びた山あいの宿という雰囲気で、赤褐色の源泉が露天風呂だったのですが、新しくなってからは露天は源泉を薄めた湯であり、少し残念なのですが、それでも素晴らしい温泉だと思います。この湖北には近くに魅力的な山が多いのも嬉しいところです。
呉枯ノ峰は電車で行ったほうが帰りにビールを飲みながら帰ってこれるのでいいのですが、今回は須賀谷温泉に行くために車でいったようなものでした。
yamanekoさんyamaizuさん、こんばんは。
uriuriさん、こんばんは。
個人的に、菅山寺は好きなところで、幾度か訪れました。木之本町大見から(yamanekoさんルート)、余呉町坂口からのルート、ウッデイパルからのルートがあります。ウッディパルからは、地理院地図の点線を辿っていくと道がなくなり、迷いましたが…
湖北の宣伝ではないですけど、関連のマップ張り付けておきます。
・大箕山(菅山寺)コースマップ
https://kitabiwako.jp/wp_sys/wp-content/uploads/2017/03/eed3755e536d24faa5b8ec29304ea941.pdf
・花と観音の里ガイドマップ
https://www.biwako-visitors.jp/guide/detail/84?city=601
「ダウンロードする」のリンクがあります。登山道も載っていて参考にさせていただいてました。
菅山寺のケヤキ、倒れてしまったときは、新聞の地方版に載っていて、ショックを受け、見にいきました。
以下の記事も参考になります。在りし日の2本のケヤキなど
https://shigatoco.com/toco/kanzanji/
yo_yonedaさん、こんにちは😊
いつもレコ拝見させて頂いております。
菅山寺に関するマップ、ご案内ありがとうございます。参考にさせていただき是非訪れてみたいところです。大ケヤキも2本揃ってる間に見てみたかったなぁ😓
湖北地方は観音さんを中心に古刹が多いようですし、山もyonedaさんがいつもご紹介してくださってるように魅力的な峰々がたくさんですね。全て未踏なんですよね😅
大津から比較的遠い印象があり、これまで中々足を向けることが無かったのですが、今後少しずつ勉強していこうかな、と思ってます。
また宜しくお願いします!
ヤマネコさん、横からお邪魔しました。
一昨年の己高山のレコ、有難うございました。廃寺跡がとても魅惑的な印象の山ですね😀
上にも記しましたが湖北地方は未知の領域です。またいろいろ教えてください。知られざる無名峰も含め😄
yonedaさん いつもいろいろと教えて頂き、有難うございます。この菅山寺は何度でも訪れたくなる魅力的なところですね。
湖北のこのあたりは昔からよく足を運び、ウッディパル余呉と大見いこいの広場はそれぞれ数え切れぬほど泊まっております。それから何度か観音めぐりもしておりました。
「みーな」の菅山寺の特集はyonedaさんは目を通されたことと思いますが、この中でも欅の樹が倒れたことが取り上げられていますね。この「みーな」の特集に出遭わなければ、この日は別の山に登っていたことと思います。yonedaさんには「みーな」を教えて頂いたことも感謝しております。
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