油滝〜両神山、西岳[廃ルートは這うルート]


- GPS
- 06:32
- 距離
- 7.7km
- 登り
- 1,279m
- 下り
- 1,277m
コースタイム
7:58氷柱のある吊り橋
9:28油滝
10:50龍頭神社奥宮11:07
11:25西岳11:35
14:22駐車場
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
全体的に滑りやすい。沢を渡ること数度あるので注意。落ち葉の下に砂利や小石、枯れ木などがあり足を取られやすい。また落ち葉のせいで踏み跡も不明瞭。ルートファインディング要。地形図要(山と高原地図では廃道のため油滝以降のコースラインが引かれていない) 油滝以降、急登になる。後半は鎖場の連続。ちなみに私は下山時、この急登で約10m滑落した。 |
写真
感想
遠出ばかりすると高速代がかさむのでやっぱり一般道で行ける範囲を探すが、もう近場の気になる山は大体登ってしまったのでどうしていいか地図とにらめっこしていた。
すると両神山のそばに片道2時間以上かかる山の奥地に滝を見つけた。そうか、何も山頂だけが目的じゃなくてもいいじゃないか、だってハイキングってそういうもんだろ?と自分に問いただし向かったのが油滝。
ナビに地名が現れないのでひとまず合角ダムに照準を合わせ、そこから国道299沿いに進むと集落を抜けた先に龍頭神社があり、その奥にある「尾之内自然ふれあい館」の標識が出る。
ん、「尾之内氷柱」ってのぼりがたくさん出てるけどなんだか見てみたいなあ、とそのまま車を侵入させていくと、冬期のこの時期だけ見られるという滝の周辺にできる氷柱があるそうだ。ちょうど油滝に向かう吊り橋で見られるというので行ってみる。
管理のおじさんが2名、私と時を同じくして到着し、「早いねえ」と声をかけられたので、実は奥の油滝を見に行くつもりだと伝えると、オープン前ということで入場料無料でしかもきっちり登山装備であることから立ち入り禁止になっている吊り橋の向こう側の通行許可をもらって先に進めることになった、ラッキィ。
そしてここで初めて知ったのだが私の後にここから山頂に登る人が来るから道案内してもらったら?とおじさんに言われ、「え!?ここから両神登れるんですか!」とビックリ。地図にはルートが引かれていないので知りませんでした。結局一人で出発することにしましたが嬉しい情報です。
氷柱は一部人工的に作られているようで太いゴム管が亀裂で細い噴水を上げているような箇所が何個もあり、それが凍ってできているようだ。もしくは標柱の氷解予防なのかもしれないが、とにかくあちこちでピューっと細い水が噴出していた。
思いのほか道が滑り、もう何十回では済まない、何百回も足を滑らせ相当に体力を消耗させ油滝に到着すると、水量乏しく、なんだか拍子抜けしてしまう。
道標に「龍頭神社奥宮」と記載があり流石にこの拍子抜けな終わり方に納得できない私は向かうことにする。これが失敗の始まりであることなど知る由もなく。
ここから先は「山と高原地図」には記載がない道。そして急登。しかも落ち葉で踏み跡不明瞭、しかも相変わらず滑る。テープを頼りに、それでも数度道を誤りながら息も切れ切れ登っていった。
後半は延々と続く鎖場に腕の力も削ぎ落とされガクガク状態で這うようにして見晴らしの良い奥宮にたどり着いた。
無風で眺めがよく八ヶ岳がクッキリ見える。頑張った甲斐があった、としばし帰るのが嫌になった。
人とは貪欲なもので、どうしても西岳・東岳で遮られる景色が見たくなり、自分の体と相談した末、距離が短い西岳に向かった。
鎖場の上り下りがあってかなり疲れたが山頂ではついに浅間山、そして南アルプスも一望できるではないか!!いやあ、実に気持ちの良い山である、両神。
名残惜しいが下山する。鎖場の途中で登山者に会う、後にも先にもこのお方と私しかこのルートで登った人とは会わなかった。
この方が管理のおじさんが話してくれたハイカーさんで、ここ(尾之内ルートというらしい)は既に廃道となっており、道がとにかく不明瞭だと、そして冬は落ち葉で滑りやすく、後半は登りが急なので見た目以上にたいへんなルートだということをお聞きした。確かに大変難儀するルートだった。この方は八丁峠の方へ下りていくとのことでお別れした。
ということで、滑り易い鎖場を慎重に下りてようやく歩ける場所に戻るが登りの時より更に滑る道でついにコケる。しかも3度、4度と繰り返し。這い上がれ!俺。
否応なしに体力・筋力が奪われ、ふらつく足元のなか、ずっとルートファインディングしながら下りているとまた足を滑らす。
慌てて手を出してしがみついた木が
折れた。
そのまま斜面をものすごい勢いで滑り落ちていく私。声も出せない。
ガツンと股間に痛みが走り、足の間に木がつっかえ棒になり滑落が止まった。
膝と股間に痛みを残しとにかく這い上がる。10m弱落ちたようだ。急所は外れていたので股間も無事、歩けるので骨折もしてはいないだろう。
登山道に戻ると一歩間違えば大事故・・・と思うと手が震えた。
とにかく大事にならなくて良かったと思っていると、テープが周りに ない。
滑落の恐怖でぼんやり下山していたら道を外れてしまったようだ。
焦り、慌てて登り返す。するとまた滑って足を取られる。コケる。痛む膝を再び打ち付ける。
激痛と不安で「かんべんしてくれ・・」と誰に言ってるのかわからないが泣き言を漏らし、やはり這い蹲りながらようやく正しいルートに戻る。
その後も足を滑らすこと数十回。コケて再び膝を打ち付けること+2回。
気がついたら喉がカラカラに乾き、持参していたペプシを飲もうとするが ない。滑落時に落としてしまったようだ。慌てて携帯・車のキー・家の鍵を調べるがどれもセーフ。落としたのがわずかに残ったペプシだけだったのは不幸中の幸いだった。しかもお茶をまだ一本持っていたので水分補給の心配もなかった。最後、氷柱周りが凍っていて氷のリンクでダメ押しの独り体落とし状態でコケる。もう亀がひっくり返って這い蹲るような格好だ。
下山後、両神温泉が定休日で踏んだり蹴ったりな感じだったが、そこは即機転をきかせて大滝温泉へ。脱衣所で膝がすりむけているのを確認してから湯船に浸かるとどっとでた疲れにそのまま寝てしまった。流石にここでは溺れるような失態は犯さなかったが。
初の滑落体験で気持ちが萎えることも少々あるが失敗から得るもののほうが成功することより大事。
だから山はやめない。廃ルートで這いはしたものの、灰にはならないってば。
コメント
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bo-tyu-zaiさん、こんばんは
いやぁ〜、ご無事で何よりです
レコの感想、恐怖小説のように、背筋をゾッとさせて拝読いたしました
決して、ご無理はなさらぬよう
...ところで、股間は大丈夫でしたか?
hirohisaさ〜ん、生きてます、私。
いや、とにかくすごい勢いで滑っていってもう考える暇なく股間が木に挟まり一命を取り留めました。中心からちょっと右寄りの足の付け根に挟まったのでそこが打撲してます。あと右膝は確実にあざになるでしょう、擦り傷は膝の内と外に大きく2箇所できてます(+。+)
登山技術が未熟なのも当然そうなのですが、やはり短期間で相当使い込んだ靴の限界だと思います。
この距離でこの行動時間、いかに過酷な道のりだったかは想像に難くないかと思います。とはいえ今回は相当経験値はあがりましたね
いやー、こっち(ヤマレコ)見てビビりました…
生きててなんぼです。
家の鍵を確認する気持ち良くわかります!
お互い、無事な山行を継続しましょー!
garnet0823さん、こんばんは、無事でした。
今回は元を正せば滝より先に行こうとしなければよかったんです。しかし逆に言えば登山は万全を期したつもりでも常に危険と隣り合わせだということです。滑落したりその直後のパニックによる道迷いの経験があるからこそ、言葉に重みがあるでしょう?
garnet0823さんもストック使用の件、懸命な判断ですし、私のこのレコで改めて山への向き合い方、見つめ直してみてもいいかもしれません。
bo-tyu-zaiさん、こんばんは★
擦り傷で済んだのは不幸中の幸いですね。
もし骨なんか折って動けなくなっていたら…、打ち所が悪かったら…と思うと、読んでるだけで恐ろしいです
無事でよかったよぉ〜。
あまり無理をなさらないように
早く傷が治るといいですね
neko-tamaさん、お騒がせしました
一日経ち、右足の付け根が大きくあざになり、右膝の擦り傷は当然痛み、ちょっと腫れてますが歩行には何ら問題ありません。
10m弱は大げさだったかな?でも6〜7mは明らかに落ちたんですよ。ホントあそこで木に引っかからなかったらさらにスピードを上げて落ちていったこと間違いなしです。ただでは済まなかったでしょう。
ついこの間、安全なハイクを、なんて言っておいてお恥ずかしい限りです・・・・
…miketamaです。
最初に目に飛び込んで来たルート図でmmm?!でしたが、、、
男の人ですから、『冒険心』ものすっごく理解出来ます、
が
下調べして行っても、両神山、
お気楽なお山ではない、たいへんなお山です!
まして西岳!!!
右膝の擦り傷だけですんで
よかったですね
miketamaさん、こんばんは。
男なので言い訳はいたしません。
慎重にコース選択することにします。
追伸:このルート、「山と高原地図」の21番、西上州編では破線で載っておりました。
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