観修寺と醍醐山〜高塚山☆半夏生の季節に


- GPS
- 02:52
- 距離
- 8.5km
- 登り
- 628m
- 下り
- 619m
コースタイム
天候 | 曇り時々雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今回のコースはほとんど良好に整備された一般登山道 夏峯峠から高塚山への尾根は車道が続く、高塚山への分岐に道標がないのでわかりにくい |
写真
感想
一日、雨が降り続く予報ではあったが、昼前から雨が上がっている。雨が止んでいる間を狙って山科の観修寺を訪れる。地名は「かんしゅうじ」と読むが寺名は「かじゅうじ」と読むらしい。境内の無料駐車場には数台の車があり、数組の人が訪れているようだ。緊急事態宣言は解除されたとはいえ京都の観光客はかなり少なく、未だに拝観を休止している寺院も少なくない。
境内に入ると東側の高塚山、南には大岩山を借景とした庭園が広がっている。庭園の北側は紫陽花苑となっている。満開の花を咲かせているのは好きな和紫陽花の花である。その装飾花の深い藍色が気品を感じさせる。
庭園の中央にある「氷室の池」の畔に来ると、多くの半夏生が咲いている。いや花ではないので、咲くという表現は適切ではないのだが、中央の島を取り囲む半夏生は遠目には白い花が咲いているようにしか見えない。葉の一部が白くなって、化粧をしているように見えることからそう呼ばれるらしい。
花かと思って近づくと白変した葉にがっかりするかもしれないが、半化粧と思って眺めると薄化粧に通じるような控えめな艶やかさがあるように思えてくる。今回、観修寺を訪れたのはこの半夏生が目当てだったのだが、この時期は池に花菖蒲や睡蓮が同時に咲いているのが嬉しい。
池の周りを回遊する歩道を辿ると「この先行かれるのは自由ですが大いに危険」と書かれている。池の裏側に至ると石組みがあり、その奥で鎮座する苔むした不動三尊像が霊的な雰囲気を漂わせる。翠微の滝と呼ばれる枯滝らしい。
観修寺から出てきてもまだ雨は止んだままである。しばらく雨は降らないことを期待して、醍醐山を訪れることにする。醍醐寺の境内の南側を歩いて、境内の裏手に出る。沢沿いになると驚くほどにひんやりとした空気が満ちている。
登山口では入山料¥600を払って上醍醐への道に入る。受付では「上醍醐まで往復3時間かかりますよ」と驚かされる。登山のスタイルではなかったので、山をあまり歩いたことのない観光客に思われたのだろう。
広々とした道は登山道ではなく、あくまでも参道の雰囲気である。参道の周りには杉の樹も多く見られるが、幹の太い高木が多く、歴史のある林の雰囲気を感じさせる。傾斜が増すと石段が現れる。石段の中央には鉄杭とその間に延々とロープが張られている。景色としては残念ではあるが、登山者の安全を図る上で仕方がないのだろう。
醍醐山に入るとこのさすがにひと気を感じない。道が谷を横切るところは不動の滝がある。水垢離のための人工の滝ではあるが、苔むした石組みとその上で佇む不動明王の石仏のせいか、厳かな雰囲気に包まれている。
九十九折の道を登り詰めると、やがて霊的な雰囲気の漂う醍醐水に到着する。登山口の受付の男性もこの水は是非、飲んで下さいと案内されておられたが、高い湿度のせいか大いに汗をかいたので、当然、水が欲しいところである。山中に湧き出る閼伽井の水のせいか、なんとも美味に感じられるのだった。
醍醐水の周りではイロハカエデの樹が目立つ。この上醍醐のあたりは紅葉が綺麗そうだ。醍醐水からは右手の斜面の石段を登ってかつての准胝観音堂の跡地に登る。ここは数年前の落雷で焼失してしまったらしい。
山中に忽然と開けた広々としたその跡地にたどり着くとすぐ目の前にはなんとも可愛らしい動物がいる。狸かと思いきや、何と穴熊だったらしい。先方も人間の出現を予期していなかったのだろう、一瞬、凍りついたかのように身動きもせずこちらをじっと見つめるが、近寄ろうとすると慌てて跡地の奥のビニールシートの掛けられた資材の中に逃げ込んでいった。
国宝の薬師堂の前からは大阪方面に好展望が開けるようだが、この天気ではどうしようもない。薬師堂を過ぎて五大堂が近づいたところで「雨が降らないな〜、こんなことなら笹百合を見に行けたかな」と家内に言うと、私の言葉に呼応したかのように突然、雨が降り始めたかと思うと、降り始めた雨は瞬く間に篠突く様な勢いの驟雨となった。五大堂に登る石段の下には丁度、目の前に休憩所と書かれた建物がある。しばらく雨宿りすることにする。
雨が小降りになったところで改めて五大堂を訪れる。上醍醐の仏堂巡りの最後は懸崖造りの建物が立派な如意輪観音堂、大きな開山堂を訪れる。開山堂を後にすると、五大堂の左手から横峰峠への登山道に入る。
すぐに醍醐山のピークにたどり着く。山名標がなければ山頂であることに気がつかずに通り過ぎてしまいそうなところだ。自然林の林には霧が立ち込める登山道を下ると、地蔵を祀る祠のある横峰峠にたどり着く。
横峰峠からは尾根上に広い舗装路が続く。道の幅からすると尾根をかなり削り取ったのだろう。高塚山への分岐の手前で尾根の西側から大阪方面と京都市街南部の展望が開ける。
高塚山への分岐を入る。すぐに道は下りに転じる。高塚山の三角点のある標高485mの小ピークがこの山の最高地点かと思っていたら、どうやらそうではなく、その手前に500mを越える小ピークがいくつも集まって複雑な地形を形成している。
牛尾観音への分岐を見送り、尾根をなだらかに辿ると尾根上に忽然と木製のベンチが現れる。三角点があるのはベンチの先の樹林の中であった。自然林の続くなだらかな尾根には再び霧が立ち込める。そのまま尾根通しに下ると、掘割式の明瞭な古道が現れる。九十九折の古道とは別に尾根芯を下降する踏み跡があるので、踏み跡を辿る。
やがて檜の植林地の中をなだらかに降りると小さな神社に飛び出した。長尾天満宮と呼ばれるところらしい。最後は天満宮の石段を降り、京都市最古とされる醍醐寺の五重塔を眺めながら再び山門にたどり着く。
このまま雨が降りやむのかと思いきや、京都市内に戻ると雨が再び降り始める。京都の市内はさほどの大雨ではなかったが、この日の夜は各地で大雨となったようだ。半夏生の時期は半夏雨と呼ばれる大雨が降ることが多いらしい。
コメント
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yamaneko0922さん、yamaizuさん、お久しぶりです〜
あの太った狸のような生き物はアナグマです
なかなか写真に収めるのが難しいので貴重なお写真です
yamaotocoさん お久です。
教えて下さり有難うございました。恥ずかしながら、よくよく考えてみるとそうですね。実物は初めてお目にかかりました。カメラの画素数を多くしておくべきだったと思うのですが、後悔先に立たずです
昨日、このコースをトレースしてきました。
とてもよかったです。ありがとうございました。
ご丁寧にコメントどうも有り難うございます。私達のレコがお役に立てれば幸甚です。
水曜日は梅雨の合の清々しい1日で、空気もこの季節にしては澄んでいたので遠望もきいて良かったのではないでしょうか。私達は晴れの日の光景を知らないのですが、ここは季節ごとの良さが味わえるところだと思います。
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