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Yamareco

記録ID: 215923
全員に公開
沢登り
日高山脈

ヌピナイ川左股ピリカヌプリ南東面直登沢右沢

2012年08月13日(月) 〜 2012年08月15日(水)
 - 拍手
GPS
56:00
距離
18.5km
登り
1,241m
下り
1,270m

コースタイム

8/13 ヌピナイ川右岸林道終点(11:10)→トヨニ北峰直登沢出合(14:20)C1
8/14 C1発(5:00)→ヌピナイ川左股上二股(7:00)→ピリカヌプリ頂上(15:00〜30)→ヌピナイ川右股ピリカ北面沢Co1220二股(16:20)C2
8/15 C2発(6:30)→ヌピナイ川右股上二股(7:30〜8:00)→・507(10:30)→下二股下山(12:30)
天候 8/13 小雨 夜に本降り 20℃前後
8/14 明け方まで小雨 のち曇り 午後晴れ
8/15 快晴
過去天気図(気象庁) 2012年08月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
8/13
 ヌピナイ川の右岸林道終点に車を置き、そぼ降る雨の中入渓。河原から次第に岩盤の連続する渓相となり、支沢の出合ごとに雪渓が現れてくる。中には本流を延々塞ぐものもあり、春のデブリの凄まじさを思い知る。予定していた上二股の天場にも雪渓がからんでいる不安があったので(実際にはなかったが)、この日はトヨニ直登沢出合にて泊まることにする。増水に備え、やや高い位置にタープを張る。タープを雨避けにして焚火。雨は夜から本降りとなり、沢水も濁って増水していた。

8/14
 明け方になると雨は小降りとなり、増水していた沢もやや水位が引く。が、増水気味であることに変わりはない。トヨニ出合から上二股までの間にたっぷり2hを要す。過去にはそれ程苦労した覚えは無いので、水量の多寡で沢の難易度は大きく変わることを実感。上二股までに直登出来ない函滝は左岸側を捲く。側壁を登るのにザイル1p出す。途中、古いリングボルトあり。
 <ヌピナイ左股ピリカ南東面直登沢右沢>
 出合からすぐの関門が10mハング状の滝。いったん戻り、右岸側の尾根から高捲く。その後、釜付き段差が続いて直登不能な8m釜滝。左岸側から捲いて、しばらくは釜滝が連続する。へつったり突っ張ったりしてどれも登れる。増水しているので、釜に落ちたら洗濯機グルングルン状態となり、這い上がるのに苦労する。水量が少なければ問題なく楽しめる。Co780に10m滝、右岸の逆層気味のところを直登。ザイル1p。トップ志願の味噌パン君が頑張る。続く8m2段の滝、右岸を捲き気味に登り、ザイルを出して落ち口へトラバース。Co850付近から直線状の函、中にガレと小滝が詰まっている。息を切らしながら登っていくと、正面の雪渓の懸かった函の奥に100m近い大滝が御開帳。大滝へ取付くのに手前の雪渓を詰めていくが、降り口付近が崩壊して薄くなっており、両岸も深いシュルンドとなっていて懸垂は不可能。無理やり降りたとしても、大滝手前の2段の函滝がハング気味で登れそうに無く、退路を断たれそう。大高捲きの選択肢は右岸側にあるが、今回は大滝へと続く左岩壁とブッシュ帯の境目付近に可能な限り登攀ルートを探る。大滝の手前、右岸から入る支沢との岩尾根に雪渓から飛び移る。滝を横目に見ながらじわじわとブッシュ帯の下限付近を捲き気味にトラバースしていくと、うまい具合に急なブッシュ帯はバンド状となって続いており、大滝最上段手前にある凹角状のルンゼへ導かれた。最後の草付きトラバースはズリ落ちれば一巻の終わり。慎重にザイルを伸ばし、凹角状のルンゼを抜けると、遠くから見えていた大滝最上段ナメ滝下部に出た。神々のトラバースといったフレーズが脳裏をよぎる。最終ピッチは高度感を楽しみながら、草付き混じりの濡れた側壁を伝って最上段ナメ滝へ。ロックハーケンをビビーンと流芯に打ち込み、さいごはシャワークライムで締める。大滝を抜けてから放心状態のまま小滝とガレを登って行く。詰めはルートファインディングを誤るも、支尾根の鹿道が頂上まで僕らを導いてくれた。ピリカの頂は自身6度目となるが、夏に晴れてくれたのは初めて。そよ風が心地よい。頂上の狭い草原に寝転んで遠く39の南面を眺めていると、今回の直登沢登攀の高揚感はしだいに鎮まり、はやくも次の沢旅への意欲が湧いてきた。
 下りはヌピナイ右股へ。ガレ場を終えて水場が出てくると気持ち良さそうな天場を見つけたので泊まることにする。夜は満天の星空だったが、吹き降ろしの風が冷たくて焚火の横を離れられない。濡れた身体とシュラフカバーを乾かし、ピリカの懐に抱かれて眠る。

8/15
 明け方は寒さで目が覚めた。9℃。さすがにシュラフカバー1枚では寒い。ヌピナイ右股は中流部の七ツ釜がデブリによる雪渓で完全に埋められていた。雪渓が融け、大量に詰まった流木や土石が流れ下り、元の景観に戻るまではあと10年くらい必要か?楽しみにしていたヌピナイ右股のキャニオニングを七ツ釜の下から始める。が、雪渓によるオン・ザ・ロック状態でいつもよりかなり水が冷たい。ただただ消耗する。水量も多く、滝つぼに引き込まれかけたりしたため、ほどほどに自重して終えた。核心を抜け、最後は白く長い河原歩き。日高の沢のエピローグにふさわしい。下山後の林道でカツマタ達と偶然出会った。ヌピナイ右股から中の川支流へ乗越し、車を回収しに戻って来たところ。ともに大樹の龍月で打ち上げ。
ファイル
(更新時刻:2012/08/17 16:23)
左股下流
雨の中の遡行
2012年08月16日 09:40撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:40
左股下流
雨の中の遡行
左股下流の函
2012年08月16日 09:41撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:41
左股下流の函
タープの中で焚火
体を乾かす
2012年08月13日 18:08撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/13 18:08
タープの中で焚火
体を乾かす
増水のヌピナイ左股
釜滝にて
2012年08月14日 05:15撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/14 5:15
増水のヌピナイ左股
釜滝にて
右または行ってすぐのハング状滝
戻って右岸から高捲く
2012年08月16日 09:46撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:46
右または行ってすぐのハング状滝
戻って右岸から高捲く
Co780、10m滝を直登して突破する
2012年08月16日 09:49撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:49
Co780、10m滝を直登して突破する
雪渓の奥に望む大滝
2012年08月16日 09:51撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:51
雪渓の奥に望む大滝
大滝手前
雪渓の始まり
2012年08月16日 09:51撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:51
大滝手前
雪渓の始まり
雪渓上から大滝
攻略ルートは右岸岩壁とブッシュとの境界付近
捲き気味にトラバースしていくと最上段ナメ滝下に導かれる。途中ザイル2p。
2012年08月16日 09:51撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/16 9:51
雪渓上から大滝
攻略ルートは右岸岩壁とブッシュとの境界付近
捲き気味にトラバースしていくと最上段ナメ滝下に導かれる。途中ザイル2p。
大滝近撮
雪渓の下にもう一段函滝が隠れている。
下から5m(-)函滝+5mハング気味函滝+80mナメ滝
2012年08月16日 09:52撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/16 9:52
大滝近撮
雪渓の下にもう一段函滝が隠れている。
下から5m(-)函滝+5mハング気味函滝+80mナメ滝
大滝抜け口にて
2012年08月16日 09:53撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 9:53
大滝抜け口にて
ピリカ頂上
遠くに39、ぺテガリを望む
2012年08月14日 14:59撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
1
8/14 14:59
ピリカ頂上
遠くに39、ぺテガリを望む
ソエマツとカムイ
2012年08月14日 15:00撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/14 15:00
ソエマツとカムイ
ピリカを越えて
天場でくつろぐ
2012年08月16日 10:06撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/16 10:06
ピリカを越えて
天場でくつろぐ
ヌピナイ右股を下る
2012年08月15日 08:13撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 8:13
ヌピナイ右股を下る
七ツ釜は完全に雪渓の下
2012年08月15日 08:29撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 8:29
七ツ釜は完全に雪渓の下
ヌピナイ右股キャニオニングの始まり
2012年08月15日 08:49撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 8:49
ヌピナイ右股キャニオニングの始まり
今回は水量が多い
2012年08月15日 08:58撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 8:58
今回は水量が多い
巻き込まれないよう注意して飛び込む
2012年08月15日 09:20撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 9:20
巻き込まれないよう注意して飛び込む
水が冷たいが我慢して泳ぎきった!
2012年08月15日 09:28撮影 by  u720SW,S720SW , OLYMPUS IMAGING CORP.
8/15 9:28
水が冷たいが我慢して泳ぎきった!
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コメント

ヌピナイ川、最高ですね
沢登りの目的で北海道に行った際、第一希望はヌピナイ川でしたが、youtubeで雪渓や草付きの通過の怖い動画を見て、第2希望のクワウンナイ川に変更になってしまいました。今でもヌピナイ川は憧れです。
2016/5/15 0:08
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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