山室湿原☆ついでに里山で小冒険


- GPS
- 02:10
- 距離
- 4.5km
- 登り
- 160m
- 下り
- 154m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
山室湿原から先、林道終点から尾根までは登山道なし 尾根上には明瞭な登山道あり |
写真
感想
米原インターを降りて山室湿原に向かう。途中にあるローザンベリー多和田の農場は多くの観光客で賑わっているが、ここを過ぎると途端に道を行き交う車も少なくなる。新幹線の高架の手前の駐車地には既に数台の車が停められている。
車を降りて歩き始めると高架の上を京都に向かう新幹線が目に入ったかと思うと轟音をたてて高架の上を通りすぎてゆく。普段、仕事の都合上、新幹線に乗る機会が多いのだが、車外で耳にする新幹線の騒音は洒落にならないレベルのものであることを改めて認識する。
つい先刻も新幹線でここを通過したところではあるが、この新幹線の線路のすぐ近くの森の中に滋賀県屈指の湿原があるなどと誰が知るだろうか。両側に広がる水田の間を歩き、林道に導かれて、正面の谷間の森に入るとすぐに湿原の入り口に到着する。
折しも一眼レフを抱えた一人の男性が湿原から出て来られるところであった。柵の扉を開けて湿原に入ると、すぐにも風に揺れるカキランが出迎えてくれる。森からは小鳥の鳴き声が聞こえる他は静かなところであるが、ほぼ数分おきに新幹線が通過する音が聞こえる。
湿原を先に進むと、繊細な三枚の花弁を従えたピンク色の花が咲いているのを見つける。この日のお目当て、朱鷺草である。写真を撮ろうとカメラを取り出したところ、すぐ近くの草に真っ赤な八丁蜻蛉がやってきてとまる。まずはハッチョウトンボにカメラを向けることになる。
朱鷺草を写真におさめて、湿原の先に進むと、今度は地味な黄土色の色合いの蜻蛉に出遭う。オスと異なり、注意深く目を凝らさないと、体長は2cm程の小さな蜻蛉がいることに気が付かない。八丁蜻蛉のメスである。自然界の多く動物と同様、オスの派手な色合いに比べ、メスはなんとも地味である。ところで、その理由は至ってシンプルである。メスにパートナーを選ぶ権利を与えるためだ。
メスの八丁蜻蛉の先にはトンボソウが文字通り、蜻蛉のような緑の花を咲かせている。角を曲がって次の小さな湿原に差し掛かると、水の中ではアカハライモリがのそりのそりと蠢いている。花や動物達に夢中になっているうちにいつしか新幹線の音が耳に入らなくなった。
湿原の奥では檜の植林地の手前でおびただしい数のカキランが群生している。カキランの群生など見たこともなかったので、その数に圧倒されそうになる。再び辿ってきた木道を引き返すと、木道にシオカラトンボ、オニヤンマと次々と様々な蜻蛉が挨拶に訪れてくれる。
最初の湿原で大きな一眼レフを構えた男性が一人いるばかり。ひと気のない静かな湿原は白昼夢のような生き物の饗宴の世界であった。
湿原を後にすると、背後の里山を訪れてみることにする。檜の植林地の中を林道は進んでゆく。右手の斜面に広がる植林地を登ってゆくことは容易であろうが、そのすぐ上は濃い藪が広がっているようだ。とりあえず林道の終点まで進んでみる。そのまま谷を登り、尾根まで上がるのにさほどの労苦は払わずに済んだ。
尾根に出ると途端に明瞭な登山道がある。途端に尾根の下から吹き上がってくる涼しい風が心地よい。北に辿ってp???に出ると、三角点のあるピークには縦走路と記された道標がある。ピークは樹林の中で全く眺望がないのだが、東に進むと伐採された広場があり、斜面の先の送電線鉄塔へと向かう細い踏み跡には見慣れた黒いプラスチックの階段がつけられている。送電線巡視路だ。
送電線鉄塔に至ると、左手には伊吹山が大きく広がるが、山頂部分は雲で覆われている。眼下には田園風景とそれを斜めに横切る新幹線の高架が目に入る。やはり数分おきに頻繁に新幹線が通過してゆく。
鉄塔広場からは左手の斜面をトラバースする巡視路を辿る。斜面をジグザグに下降すると、再び檜の植林地を通り抜けて、草が覆い尽くした林道に出る。最後は厳重に針金とチェーンが巻かれた防鹿柵の扉を開けて、舗装路に出た。
ここで田圃の中を歩く舗装路を歩いて駐車地に戻ればよいのであるが、地図では山の端を周回する実線として記されている林道が目に入るので、林道に沿って再び山の中へと入る。しかし、すぐに道は荒れており、踏み跡も不明瞭となる。大きな青黒い蛇を見つけるが、蛇は我々から逃げるように樹を登ってゆく。林の中では多くの黒い蜻蛉が飛び交っている。ハグロトンボのようだ。
薄い踏み跡を辿って地図に道が記された通りに進んでゆくと椎茸の栽培地に出る。ようやく明瞭な林道に出たと思って安心したのも束の間、防鹿柵の扉が道を遮る。近づいてみると頑丈に針金で固定されており、簡単に開けて通過出来そうもない。仕方ないので乗り越える。しかし、その先にも完全に固定された防鹿柵の扉がある。後方の橋を渡って、用水路の対岸の舗装路に渡ろうとしたところ、橋の上には高圧電流を流した電線が張られている。電線に触れないように注意しながら脚で跨いでなんとか道に出るのだった。どうやら不用意に里山に入るものではないようだ。
振り返ると、辿ってきたp??とその向こうの送電線鉄塔が目に入る。背後の空は晴れ渡り、伊吹山の山頂部もすっかり雲がとれているのだった。
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