卒塔婆山~廃村八丁☆新緑の八丁川を遡行して


- GPS
- 05:17
- 距離
- 12.6km
- 登り
- 631m
- 下り
- 612m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
八丁川は渡渉多し 通常の登山靴では困難と思われる |
写真
感想
この日の山行は新しく入手した長靴を履いて緩やかな渓流の遡行をすることを前提で山行先を探す。かねてより辿りたいと思っていた廃村八丁への遡行にノコギリ谷の遡行と卒塔婆山への周回を組み合わせることにした。
鞍馬街道を北上し、花背峠を越えて別所に入るとすでに散り始めの桜もあるが、枝垂れ桜は満開である。上黒田では国道脇の見事な枝垂れ桜に思わず車を停めて寄り道をする。黒田の百年桜はすでに散り始めであったが、
井戸で国道を右に折れて小塩川沿いの県道に入る。塩の集落の奥には立派な民宿がある。県道を直進すると、すぐに非舗装路となり、道も荒れているようだ。どうやら東谷に入る林道へと入ってしまったようだ。小塩まで戻ると、川沿いの細い林道が目的の西谷林道のようだ。果たして林道は目的の登山口まで入れるのかと心配ではあったが、小さな落石は転がってはいるもののなんとか越木峠への登山口に辿り着くことが出来た。尤も、車は数多くの水溜まりを越えたせいでドロドロの状態になったが・・・
登山口の手前の広地に駐車すると、すぐさま後ろから来た二台のモトクロスが林道を上がっていった。古く錆びついた道標には「谷沿いの不明瞭な道を辿って20分」と記されている。いくつもの堰堤が並ぶ沢の左岸の踏み跡を辿って谷を登ってゆく。斜面の道は崩壊気味であり、おまけに杉の倒木が道を塞ぐ。新緑が美しい樹林の中へ入ってゆくと、かつての登山路は崩壊しているようだ。確かに不明瞭な踏み跡を辿り、対岸に設けられた木製の階段に辿り着くと、峠までは明瞭な踏み跡を辿ることが出来た。峠には舗装された道路が通過している。
道路を渡ったところから始まる峠の反対側には掘割の古道が現れた。八丁村から京都に出るのに辿ったみちだろう。こちらも倒木で道は荒れているが、明瞭な踏み跡を辿って谷を下ると、谷のむこうに流れの緩やかな河川が目に入る。河岸には多くの深山片喰と二輪草がお出迎えである。
川は浅瀬が多く、長靴で川の中を歩くことが可能だ。川面に反射する新緑が美しい。普通の登山靴であれば頻回に渡渉することになるが、靴を水に浸さずに渡ることは難しいだろう。川の中には注意深くみると、多数の魚が泳いでいる。
川の中ほどに多数の木が積み上げられている。豪雨で流されてきた流木によるものだろう。木を乗り越えてゆくのは到底、難しそうだ。左岸近くの伏流の上を歩いて通過する。
八丁川の谷間が大きく広がり、右手から小さな沢が合流すると、目指すノコギリ谷だ。沢に入るとノコギリ谷という名前とは裏腹に谷は広く、歩きやすい。
卒塔婆山から西に延びる尾根で山頂を目指すことにする。すでに沢の流れはほとんどなくなっている。沢を離れるあたりで大きなトチノキが目についた。尾根はすぐにもアセビの藪となるが、藪の間に鹿道をみつけ、藪の間を抜けてゆく。
間もなく尾根上にはシャクナゲが現われる。予想通り、シャクナゲはまだ蕾のものも多いが半分ほどは咲いている・・・すなわち五分咲き程度だ。シャクナゲの藪は手強いことが多いが、鹿道を頼りにさほど苦労することなく藪をぬける。樹林の合間からは西側の展望が広がる。最後は杉の若木の藪の隙間を抜けると、山頂までは藪のほとんどない歩きやすい自然林となった。
卒塔婆山の山頂広場は樹林に囲まれて展望はない。尾根を東に辿り、広域林道に降り立つとすぐに卒塔婆峠への分岐へと至る。峠では八俣に枝分かれした大樹があるが、ムクノキらしい。残念なことにそのうちの一本が折れて峠の手前に転がっている。峠の上には樅の大樹がそびえていた。峠から遠くに望む山は桟敷ヶ岳ではないだろうか。
卒塔婆峠からは広いババ谷を下降する。谷沿いの道を下ると、廃村八丁の方から登ってこられる単独行の男性に出遭う。菅原から周回されてこられたらしいが、廃村八丁で一人、出遭っただけだという。道wを先に進むと錆ついたディーゼル・エンジンが目に入る。制作はヤンマーディーゼル社らしい。相当に古そうなものだ。廃棄物というよりも展示物のように感じられるのだった。
再び八丁川に出合うと、わずかに上流に遡ったところが廃村八丁だ。川沿いの道端では墓地が木漏れ陽を浴びている。果たして、このお墓にお参りに来る方がおられるのだろうかと、余計なことを考えてしまう。一般登山路から八丁川に降りて、杉林の間を流れる川の中を歩いてみる。廃村八丁が近づくと、杉木立の中に石垣の佇まいが現われる。
廃村八丁に辿り着くとお地蔵様のある祠の手前の河岸で若い男性がいる。挨拶をすると二度目に声だけがかえってきた。祠の上では多数のイワウチワが満開の花が咲かせている。川の周囲を注意深く探したが、前回、ここを訪れた時にみつけた磁気のお猪口は見当たらなかった。
三角小屋に向かって渡渉すると、川のほとりで別の男性がテントを設営しておられた。三角小屋の周りは黄水仙が彩っている。ふと見ると三角小屋の扉が空いている。中を覗くが誰もいない。果たしてテントを設営しておられる男性が三角小屋の鍵を開けたのだろうか?しかし、三角小屋の鍵を持っているのなら、わざわざテントで寝る必要はないだろう。小屋を開けた人物は近くにはいないのだろうか。
家内が早く京都の自宅に戻りたいというので、長居することはせずに帰路につく。帰りは川の中をいたずらに歩くことはせずに渡渉を繰り返しながら、歩けるところは岸辺を歩く。テープ類はないが明瞭な踏み跡が続いている。昔の村人が歩いた道だろう。
八丁川の中を歩くと川面に映る緑が一段と深く感じられる。谷沿いには半透明の黄白色の日陰躑躅が満開だ。花の色は美しいのだが、生えているは写真に取りにくい急峻な崖ばかりだ。後で調べるとやはり、そういう場所を好んで生えるらしい。
八丁川を下るうちに、右岸に林道が現われる。遡行するときには明らかに見かけなかったものだ。GPSを確認すると、どうやら越木峠に登る谷を500m程、通り過ぎてしまったようだ。この川を歩いていると時を忘れそうだ。越木峠を越える帰り道も心なしか早く感じられた。
新緑の川歩きを堪能した一日だった。また違う季節の光景を見てみたいところだ。
コメント
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殆ど谷沿いのルート歩きですね。八丁川左俣はババ谷出合まで難路とは聞いておりましたが、長靴が要るんですね。
新調されたとのこと。アウトドア用の細めのやつかな? けっこういい値段してましたね。
八丁川右俣からソトバ山に上がれるんですね。このルートは知りませんでした。ソトバ山・ソトバ峠の由来を聞くとチョイ引けましたけど⁉
シャクナゲのお便りありがとうございました。
ののさん
コメントどうも有難うございます。レスが遅くて失礼しました。昨日まで京北の滝又の滝から貴船まで、長いトレイルを歩いておりました。シャクナゲのみならず、平年であれば見頃なはずのクリンソウも今年は遅いようです。ヤマシャクヤクも。
確かに八丁川の遡行は通常の登山靴では難路になるかと思います。新調した長靴はグリーンマスターというもので、とても軽くて柔らかいです。ただ渡渉用のアクアシューズなどでもいいのではないかと思います。
今年は花だけでなく新緑も遅いように思います。もう少ししてからでも新緑は綺麗だと思います。
ノコギリ谷からの卒塔婆山へのルートは鹿の踏み跡以外はありませんし、卒塔婆山西尾根は藪漕ぎ覚悟です。
卒塔婆山の由来、知りませんでした。卒塔婆峠のすぐ下、ババ谷の綺麗な源頭を林道が横切っているのが残念なのですが、このあたりが風葬の地だったのかもしれませんね。
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