子連れで雪の小女郎ヶ池へ☆サカ谷左岸尾根~サカ谷道周回

- GPS
- 04:54
- 距離
- 7.3km
- 登り
- 807m
- 下り
- 793m
コースタイム
| 天候 | 雪 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2019年03月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
サカ谷左岸尾根は一般登山道はないが、鞍部からはテープあり 今回取り付いたサカ谷からの尾根は極めて急峻であり、この尾根道に行く場合には鞍部の反対側まで林道を回り込むほうがよいと思われる サカ谷道は整備された一般登山道 |
写真
感想
この日、次男との山行を約束していたが、私は市内で午後から用事があるので午前中の山行を考える。京都市内は朝から晴れの予報ではあるが、朽木のあたりは早朝までは降雪の予報である。
雪景色を期待して、小女郎ヶ池を目指すことにした。R367を北上すると大原のあたりでは1℃であった電光表示板の温度は花折トンネルを抜けた所では−1℃となった。坂下に辿り着く頃には、あたりはすっかり明るくなる。一晩で降り積もった雪のせいで、あたりはすっかり雪景色となっている。
サカ谷に入り左岸尾根の末端のピークに登るため、右手の植林地の斜面にとりつく。すぐに深々と雪が降り始めた。かなりの急斜面ではあるが、次男は不機嫌になることもなく、なんとか私の後をついて来てくれる。しかし、なかなかスピードはあがらないので、ピークに達するまでに1時間近くかかってしまう。
ピークでは植林地から自然林へと変わり地面はすっかり白くなっている。ピークで方向を左手に転じ、小さな鞍部へと下る。この鞍部に至るためには、近畿自然歩道となっている林道を反対側まで回り込むほうがよかったのかもしれない。鞍部からは再び植林地の長い登りが続く。
尾根を登るとすぐに樹間から左手の安曇川の流域が深い霧に沈んでいるのが見える。雪がやみ時折、黄金色の朝の陽光がさすと、広い谷間を覆う霧も光に照らされて柔らかな黄金色に輝く。
しかし、林の中に陽光が差すのもつかの間、再び雪が降り始める。斜面の冠雪は薄いもののやはり雪の斜面に慣れていないのか、次男の速度は遅々として中々上がらない。それでも弱音を吐くこともなく、慣れないダブルストックを斜面に突きたてては懸命に登ってくるようだ。
標高950mのあたりで右手の斜面から上がってくる明瞭な掘割式の古道が現われる。1/25,000の地図ではアゼチ谷を遡行する破線の道のように思われる。かつて平集落と小女郎峠を結ぶ古道だったのではないかと思われる。このあたりで植林地から自然林に変わると足元の雪も多くなり、ようやくスノーシューを装着する。
斜面も緩やかになり、ヒールリフターのお陰もあるのか次男も斜面を登るのが少しは楽になったようだ。尾根の上部になると、辺りのリョウブの樹々が霧氷の薄化粧を纏って白くなっている。おそらく今頃は武奈ヶ岳の北尾根では立派な霧氷がみられるのかもしれない。
尾根の突き当りの緩やかな稜線を越えると、いよいよ左手の眼下に半ば凍りついた小女郎ヶ池が視界に飛び込む。私の不意の出現に驚いたのだろう、二頭の鹿が慌てて逃げていった。何度も訪れている小女郎ヶ池ではあるが、この尾根から池が視界に飛び込んでくるこの瞬間の感動はいつも変わらない。特にこのなだらかな尾根の高みから見下ろす小女郎ヶ池の光景が最もお気にいりである。先ほどまでの雪もいつしか止み、池を取り巻く丘陵が霧の中から姿を顕す。本来であれば池を挟んで対峙する筈の蓬莱山は雪雲の白い緞帳の中だ。
池の景色に見惚れている私の背後から次男が驚きの「パパ、下の方に川が見えるよ」「川じゃなくて、あれが小女郎ヶ池だよ」云われてみれば、なるほど、池の縁に近いところで氷がスリ硝子状になっており、その部分が蛇行する川のようにも見える。
池の畔に辿り着くと、白く雪が降り積もった池の端の上に乗ってしまったのだろう。パリっと音がして、雪の下で池の表面が割れたかと思うと、靴に水が被る。悪い手本を見せたかと思ったが、次男の目には入らなかったようだ。次の瞬間、後ろでも似たような音が聞こえ、次男も池にわずかに足を浸したようだ。靴の中には浸水しなかったので、何よりである。急速に再び霧が生じ、池の上を覆い始めた。先程、池を見晴らせるあたりで霧が晴れていたのは幸運だったようだ。
池の畔を歩いて小女郎ヶ池の看板があるところに来ると、落ちた看板の上に数センチの雪が降り積もっている。再び雪が降り出したが、看板は綺麗に水平になっているので、この上で湯を沸かしてポタージュとパンのブランチとする。食事を終えていざ出発しようとすると、食事の前に払ったばかりの看板の表面には束の間の間にも既に雪が積もり始めている。いつしか小女郎峠のあたりが見えない程に霧が濃くなっているので、峠を訪れることも諦めて下山の途につく。
尾根上の夏道はわかりやすいが、北西に辿り二重山稜になるともともと残雪があったせいか夏道は不明瞭になる。登山道の方向は間違っていない筈なので、左手の尾根を辿る。やがて残雪の下に隠れていた夏道が現われると、後は薄く冠雪した夏道を探す苦労は不要であった。久しぶりに辿るサカ谷道であるが掘割の古道の趣が残る道もいいものだ。次男が「こっちは道がわかりやすくていいね」・・・左岸尾根はそもそも登山路がないということを理解させていなかったらしい。
標高850mあたりで左手の杉の植林地の斜面に降りていくと、急に足元の積雪が薄くなっていくので遂にスノーシューを脱ぐ。杉林を抜けると背後から光が指し始めた。見上げると空には雲の合間から比良ブルーと呼ばれるような蒼空が覗く。
私が普段使用するミニ・リュックが合わないのか、スノーシューを括り付けるとすぐにも肩が痛いと云うので、私のリュックの左右に次男のスノーシューも括り付ける。二足は女性子供用のスノーシューとはいえ、計四足のスノーシューは流石に重く感じられる。
再びサカ谷右岸尾根をトラバースして尾根の北側に移るとあたりの積雪はほとんど失くなる。以前この道を辿ったのは一年半程前。このあたりからは秋の台風の後であり、倒木が激しかった憶えがある。やはり多くの倒木があるのだが、歩きやすいようにすっかり整備されている。
再び杉の植林地となり、作業道をサカ谷に降りてゆく。サカ谷を渡渉したところで早朝に登った急斜面が目に入る。次男は私についてよくこの斜面を登ったものだと今更ながらに思う。
登山口に帰り着くと、つい数時間前には一面の雪の世界であったというのが信じられないほどにあたりには雪はまったく見られない。今朝の雪景色は過ぎゆく冬が去り際にみせてくれた束の間の幻影であったようだ。
京都市内に戻ると青空からは燦々と春の陽光が降り注いでいる。「比叡山だったらよかったかな」と云うと「やっぱり雪山がよかった」と長男と同様の返答をする次男であった。
コメント
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山猫




日曜日に行かれたんですね。朝起きて2階から外を見てみると屋根に薄っすら雪が積もっておりましたから山ではソコソコ積もったのかなって思っておりました。
サカ谷の南尾根を上がられたんですね。それも北側からのアプローチとは。安曇川の橋を渡った直ぐ右手に尾根方向に上がる杣道があったのですが、途中で無くなるだろうしと行ったことは無いんです。コンターも密ですしね。
南尾根の場合は、おっしゃる通りぐるっと廻って南側からのアプローチが解り易くて楽でしょうね。
2月の厳冬期には、スノーシューで小女郎池を横断したことがありますが、ちょい不安がありました。本当に大丈夫?って 落ちたら話になりませんからね。
比良でも未だ雪面歩きが楽しめるんですね。私は氷ノ山へ行ってから冬道具は仕舞っちゃいました。
ののさん コメント有難うございます
>サカ谷の南尾根・・・
サカ谷尾根を登山口から直接登る急斜面は次男にはちょっときつかったかと反省しております。以前は下りで使って、鞍部から南の近畿自然歩道に下っているのですが、こちらの方がはるかにいいと思います。杉の植林が多い中で、尾根末端のピークは自然林であり、独特の雰囲気がありましたが。
>2月の厳冬期には・・・
地球がもう少し温かくならない限り、さすがに2月の厳冬期は大丈夫ではないでしょうか。私はこの季節はまだ訪れたことがないのですが・・
>比良でも未だ雪面歩きが・・・
いや、日曜日までではないでしょうか。今日は京都でも20℃近くまで気温が上がるのではないでしょうか。
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