大文字山北斜面逍遥☆春の気配を求めて


- GPS
- 02:58
- 距離
- 6.5km
- 登り
- 535m
- 下り
- 594m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
下山は真如堂前に |
コース状況/ 危険箇所等 |
概ね整備された登山路または明瞭な踏み跡がありますが、写真20より上の谷、写真25の尾根から26の谷の源頭、写真29の谷から写真30までの踏み跡との合流地点は踏み跡もテープ類も全くないルートです。詳しくは感想を参照。 |
写真
感想
怪我をしてみると膝への負担が少なく歩けるなだらかな低山が近くにあることが有り難く感じられる。この日は白川側から大文字山の北斜面にアプローチすることにして、三条京阪から比叡平行きの京阪バスに乗って八大龍王のある北白川琵琶町で降りる。車が頻繁に行き交う山中越の狭い車道を少し歩き、白川にかかる青く塗られた小さな鉄橋を渡って谷に入る。このバスを利用しての白川からのアプローチは表玄関をバイパスして裏口から庭園に入るような感がある。
西に傾いた午後の太陽が尾根の上の杉林から幾筋もの白い光を谷に注ぎ込んでいた。すぐに日陰の谷へと入り、堰堤を流れ落ちる沢の水が、谷に響く中、小さな沢の流れに沿って広い谷を登ってゆく。堰堤の右から杉の林の中を上がると谷は急に狭くなる。谷筋には倒木が何本もみられるが、なんとか乗り越えて進むことが出来る。広い谷に出ると一挙に大文字の山の懐に飛び込んだという印象を抱く。花崗岩質の沢を流れる小さなせせらぎに沿って進むうちに、まもなく中尾の滝に辿りついた。
この日は幻の滝に向かうべく、右手の斜面を上がる。多くの蕾をつけた樒(しきみ)の葉陰にわずかに開花した花を見つける。樒の花をみかけると急にあたりの空気に春の陽気を感じる。先週の広島の経小屋山でも一輪の樒の花を見かけたところであるが、咲いたばかりの春の花を見かけるのは嬉しいものだ。来週には多くの花が咲くことだろう。
沢は二股に分かれるが、道は左手の沢に沿って進んでゆく。やがて沢の水がなくなり伏流となると、沢の右手の斜面に幻の滝が現れる。周囲の地形から考えても雨が降ってもここに滝が出現するとは到底、無理だろう。枯山水庭園の滝の石組みに見立てたようにも思えるが、この幻の滝が命名された背景は如何だったのだろう。
滝の奥へと広い谷を進んでゆくと、谷の奥を仔鹿が谷の奥へと逃げていく。やがて道は左手の斜面を登ってゆく。ここで一人の男性とすれ違う。山頂と火床以外で人とすれ違ったのはこの二組のみであった。山頂にたどり着くにはそのまま尾根を登ればよいのだが、尾根を下って左手の小さな谷に降りると、源頭を上まで登ってみる。踏み跡はないのだが、藪はなく歩きやすい。谷の源頭を左手の斜面に登ると尾根上には小さな踏み跡がついていた。そのまま尾根を辿るとすぐに山頂に出る。
山頂には燦々と冬の午後の柔らかい黄金色の光が降り注いでいる。大阪方面まで見渡せるが、春霞が遠い大阪のビル街の輪郭をぼかしている。
下りは北斜面の杉の植林を降りる。すぐに落葉した自然林になり、落葉した樹々の間からは正面に比叡山を望みながら、谷の左手の尾根をトラバースするように下ってゆく。尾根筋を下る踏み跡はやがて右手の谷へと下ってゆくのだが、敢えてコースを外れて踏み跡のない斜面を左手の谷に降りてみる。谷に降り立ってみると、広い源頭が美しいので、再びこの源頭を登ってみる。
今度は右手の尾根を乗り越えて、山頂に辿り着くために最初に登った谷筋を下る。なだらかな広い谷を下る道は左手の尾根へとむかうのだが、今度は沢沿いに下る。こうして歩きやすい谷を自在に歩き回ることが出来るのもこの大文字ならではの魅力に思われる。
谷は右手から小さな沢が合流する。今しがたなだらかな源頭部を登った谷から流れ出た沢だろう。倒木が多くみられる谷を鹿道を辿って下ると、ピンク色のテープがつけられた明瞭な踏み跡と合流する。ここからはこのトラバース道を西へ向かう。小さな尾根を乗り越えると谷間には多くの馬酔木が蕾をつけている。一株の馬酔木がすでに満開の花をつけいる。
中尾城跡から続く尾根道に出ると尾根をしばらく上がって、最後は火床に向かって斜面をトラバースする道に入る。この谷の晩秋の景色がとても美しかったことを家内が思い出す。下草がほとんど見られず、樹高の高い樹々が壮麗な印象を与える。銀閣寺からのポピュラーな登山路のすぐ裏側にこのような谷道があることが大きな驚きだ。
火床に出ると京都の市街には黄金色の西陽が降り注いでいる。美しい夕陽が期待出来そうではあるが、祇園で予定があるので、この日はのんびりと過ごす訳にはいかないのが残念である。
この日は大の字の南側から霊鑑寺へのルートを下ることにする。長い階段を降りてゆくのだが、前回、この大文字の火床を訪れたわずか8日ばかり前の日にはこの階段を両脚で下ることが能わず、骨折を負傷した患側の脚から一段ずつ降りるしかなかったのだった。
順調に階段を下り銀閣寺方面への分岐を過ぎると、いつの間にかあたり一帯の樹々が伐採されて広々とした空間が出現している。しばらく前は昨年の台風による倒木が多かった一帯ではあるが、伐採された樹々が積み上げられているのだった。
後は通りなれた道であるが、台風後で迂回を繰り返しながらの登山道も整備されて、かなり歩きやすくなっているようだ。白川通りまで続く坂道を下り、真如堂前のバス亭に着くと夕暮れ色に空気が染まっていくところであった。
やはり大文字山は様々な表情を有する魅力的な山である。新緑の季節が待ち遠しく感じられる。短い山行ではあったが、なんとか無事に歩くことが出来たことが有り難く感じるのであった。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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幻の滝の写真ありがとうございます。
谷を歩いていてもゴミが目立つのは残念ですね。左官のトロ舟まで流れているような。
馬酔木の花も咲いていましたか。もう春ですね。山に行けなくて庭先だけで春を感じておりましたが、スーパーにてエンドウ豆も見かけましたので春も近いなって実感です。
家庭菜園も忙しくなってきました。休日も午前中は畑の用事をして、午後は仕事をしておりました。山に行ってないのに筋肉痛?? ジャガイモの畝作りで筋肉痛です。
月が替わると人参も種まきしなくては。 うちのワンコの大好物の人参は欠かせないですね〜。
ののさん コメント有難うございます。
写真、細かくみて下さり、有難うございます。そうなんですよ。この谷に入ったところのゴミは確かに興醒めではあります。ちなみに薄緑の大きなトレーみたいなもの、トロ舟というのは初めて知りました。毎度いろいろとご教示、どうも有難うございます。
コースに写真を載せておきましたので、もしも大文字に行かれることがありましたら、中尾の滝、幻の滝の位置が参考になると幸甚です。
綿向山〜イハイガの山行以来、山に行かれていないと思えばお仕事と家庭菜園でお忙しくされていたのですね。山よりもむしろ庭先の方が春を感じるのではないでしょうか。お忙しいかもしれませんが、家庭菜園で自ら育てた野菜は格別の美味しさでしょう。ジャガイモに人参とは、no2さんのところでは肉じゃがやカレーがとりわけ味しそうですね。
ルート上に写真を載せていただくととても参考になります。
言っておりましたように、まだ踏めていない山域なのでレコに上げられたバリエーションルートなんかは、カシミール3Dに登山道追記したりしております。
山科側からとか日向大神宮から上がるのも面白そうですね。私の師匠曰く、いろんなルートがあるので飽きないよ。とのこと。
銀閣寺側に下りて、チャンポンの美味しいお店に寄っているって言ってました。
わんこ2匹の副食がニンジンなので、良く買っているんですね。今年は作ってみようということで。
カレーと言えば、玉ねぎも植えましたよ。4種類を同級生のプロから苗を貰ってきて240玉ほど植えました。上手いこと育ってきてくれてます。
極早生の「貴錦」って関取の名前みたいな玉ねぎは、4月に収穫できるとか。
毎年買いに走っている日野菜は昨年初めて挑戦して、現在も連続して収穫できており、白飯が美味しく食べられる浅漬けが最高です。
好きな豆ごはん用のエンドウ豆は、まだまだ小さいですね〜
素人レベルの菜園は楽しいです。
レス有難うございます。
重要なことを記載しておりませんでした。いくつか踏み跡もテープ類もないところを通過しておりましたので、コース状況に追記しました。
家庭菜園のニンジンが副食なんて贅沢なワンちゃんですね。羨ましい限りです。
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