巻機山天狗岩南稜テールリッジ(標高1230まで試登)
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- GPS
- 08:17
- 距離
- 5.2km
- 登り
- 604m
- 下り
- 602m
コースタイム
天候 | 晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
巻機山の登山口『桜坂駐車場』に駐車。第一〜第四まであり。 キャパ100台で到着時には80%程度埋まっていた。 駐車料金500円、バッジも買えます。 ※きれいなおトイレ・湧き水の靴洗い場あり。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【駐車場〜割引沢・避難道分岐】 刈払い前で若干藪道だが道自体は明瞭で危険のない安心道。途中沢が横断している部分はぬかるみあり。 【割引沢・避難道分岐〜ヌクビ沢入渓地点】 沢を遡行したりへつったりしていくよりは時間・体力の節約になるだろうと思い行ってみたが、なかなかの悪路。 常時微妙に沢側に外傾していて、しばしば小崩落があり、3〜4歩分山側の枝や草付を掴んでへつる必要があったり、ザレや枯葉堆積部の急登降も出てくる。沢側に転落すれば重大事故になる場所がほとんどで、集中する必要がある。 降雨後は命が掛かる。雨の量によっては途中沢が横断するので、渡渉は困難そう。 バイル等で泥に打ち込んで移動するか、いっそビバークした方が良いかもしれない。 少し顕著な獣道程度という認識でいいかも。 【ヌクビ沢入渓地点〜南稜テールリッジ取付】 ヌクビ沢を100m程度下るが、増水時はともかく平水時は普通に丸腰で降りて行ける。 【南稜テールリッジ取付〜今回到達点】 1P目:SM100C 35m 激藪急登で開始。時折生えているツツジ系やタニウツギの灌木があるおかげで登るに困る難易度ではないが、ほぼ腕力勝負。藪の間隙を見定め進路を決める。密藪に入り込むと登れなくなりそう。藪中を探って岩があればラッキースタンスで助かる。 傾斜が緩んだ狭い場所で灌木にて支点構築。 2P目:kastin52 45m 出だしは今回ルート中最も過酷な密藪。特にクズより粘りと強度のある蔓性植物があらゆる部分に絡まり、足元も定まらず浮遊体験しながら突破。抜けると急な泥壁に巨大な岩が重なる4m程度の突破がおもしろい。その先は藪が次第に薄くなり、傾斜も緩んで登り易い。 豊富な灌木で支点構築。 3P目:SM100C 45m 見上げると傾斜は緩いが、藪で見通せず先がどうなっているかわからないので一応継続してロープ登攀した。結果的には必要なかった。スタスタ歩けるレベルだが、常時藪漕ぎは変わらない。 4P目:kastin52 45m 3P目とほぼ変わらず、傾斜の緩い藪漕ぎ。途中からロープを解き、回収して登る。 以降しばらくは同じ状態が続きそうと判断してそのまま歩いて登った。 |
写真
ここにいつかは登りたいとふたりで思った天狗岩。
(ka)どうも!ハーネス着けたらかすちんです!
あんな顕著な山(山?)なんで登る人いないの?って思ってた。
(ka)二俣までは越後的には一応、登山道。
しかしわたしにとってはバリエーションルート並の難路(´;ω;`)
越後の山は登山道であってもフツーに難路が多いよね。
(ka)今年最初の花芽を見つけてから会うたび標高が上がっているから開花に出会えない(ノД`)
(ka)トラバースなんてお気楽な道じゃないのよ。へつりよ、へつり。
バイルがあればなんとかなるけど。
(ka)チェンスパ着けると安心かもなんだけど、ときどき現れる岩が逆にいやらしくて着ける気になれない!
(ka)越後の「忘れ去られた三大岩壁」のうちのひとつではなかろうか。
あとのふたつは佐梨川金山沢奥壁(こないだ中澤さんがやってたけど)と海谷カールマルクス大フェースでいかがでしょう。
我々はここから下る方向に100m程度。
(ka)フツーにヌクビ沢遡行してみたいな♪
(ka)どこから取り付くのか悩むけど、どこから取り付いてもたいして変わらないな( ꒪⌓꒪)
1P目が終わり、かすちんの2P目スタート。激藪急登、出だしで藪に捕まって苦労していた。
(ka)どうにもならない薮まみれで否応なしにつるべで登るしかない。
この出だしの薮、踏み抜いたら空中なのかさえ分からなくてこわい上に薮を抜けたら崩れそうな岩。
そういう意味では今回いちばんおもしろいピッチをリードで登れてラッキーو(*`꒳´)٩
(ka)ところどころ獣の寝床らしきものや大きめの獣の糞もあったのでそれなりの薮のうすいとこを狙って高い方を目指せば尾根は外さない。
(ka)すごくおっきいカモシカさん。ここらのヌシなのではなかろうか。
(ka)避難道も天狗岩南稜も写真を撮る余裕がなくて、ようやく深呼吸ができた刹那、突然足元にご褒美ハルリンドウ。
ほっこりせざるを得ない(◍︎´꒳`◍︎)
今回藪を抜けた先を見てみたかったが、時間切れ。
(ka)どこをどう登ったのかここからだとよく分かんないね(๑˘・з・˘)
もうちょっと藪漕ぎスキルを上げたいところ。
感想
人が踏み入らない所というのは、時に信じられない光景を生み出すことがある。
すごい絶景だったり、寒気がするほどの昆虫の群れだったり。
すべてがキラキラする体験ではないというのがポイントで、ただ苦しかったり、怖かったり、気持ち悪かったりするのもまた、山の一面でもある。
そういう山の裏の顔を知ることは、本来の登山の姿だと思っている。
ありとあらゆる事象が重なって、そこにいるべき生き物が生きていて、そこにしかない光景を生み出している。
人が入ることにより、それは少しずつ崩されている。それは一概に悪いこととは言えず、それによって新たな植生が芽生えたりすることもある。
だが、本来そこがどんな所だったのか。そこを知ることにとても興味があって、そこには何があって、どんな生き物がいて、どんな光景が広がっていたのか。
人が入ってしまえば、過去の記述でしかもう知る術がない。
まだ原始のままのおもしろそうなところが無限にあって、もしかしたら自分にも行けそうなところが残っているという事実。
それだけでも胸が高鳴ることだけど、出来れば踏み入って自分の眼で見てみたい。
それがボクに泥壁を登らせ、藪を漕がせ、沢に入らせ、登山道も歩かせている原動力だ。
ここから山頂に登れるかはわからない。
わからないが、そんな進んだ先の世界で見れる光景にはとても期待している。
「その辺りで一番高い所」に行きたいわけじゃなく、「その辺りはどんな世界なのか」が唯一の興味だ。
人々の認識が、山は単なる競争や技術、キラキラした美しく優しいだけの世界、という方向に進んでいくなら、それは山の本質を見ていないと思っている。
偉そうなことを書いたが、ぶっちゃけそこに行ってみたいだけなんだよなぁ(笑)
天狗岩を初めて眺めて、その夜すぐにインターネットで記録を漁った。
登山大系には西壁と南壁の記録しかない。
厳冬期の南稜登頂記録は、あった。
この天狗岩を「忘れられた岩壁」と紹介するブログもあって、その理由のひとつとして交通の便だっり、アプローチの遠さを上げていて、それってやっぱり今で言うフリークライマー的な考えだよな、と思った。
映える壁に手軽に取り付いて初登ルートを制覇する。
それで世に名を馳せるってわけか。
そもそもわたしはハイキングを始めたころから「山は苦しみに行くところ」って言い切る串田孫一信者だから、アプローチうんぬんとか、登頂できるかできないかはわりとどうでもよくて、そこへ至る作戦を練って、偵察に行き、取り付いてみるっていうのを繰り返してきた。
ふと、林道から見えたトンガリ山だったり、地形図を見ていて気になる谷筋があったり。
行ってみたいけど行くための知識と技術がないのはとても悲しいことだ。
行けるか、行けないかじゃない。
行ってみなくちゃ分からない。
それがやっぱり、わたしの思うほんとうの登山の醍醐味なんだと思う。
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