奥穂高岳・涸沢岳・北穂高岳(涸沢カール2泊)
- GPS
- 29:43
- 距離
- 39.7km
- 登り
- 2,768m
- 下り
- 2,756m
コースタイム
- 山行
- 5:03
- 休憩
- 2:46
- 合計
- 7:49
- 山行
- 9:52
- 休憩
- 1:36
- 合計
- 11:28
- 山行
- 8:05
- 休憩
- 2:17
- 合計
- 10:22
2日目:穂高岳山荘→涸沢の下りは非常にゆっくりペースです。
3日目:やや早めのペースです。
天候 | 1日目:曇りのち小雨 2日目:晴天無風※昼頃から上高地側ガス 3日目:快晴無風 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
松本→新島々:松本電鉄上高地線 新島々駅→上高地:アルピコ交通バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
<上高地-涸沢> 上高地バスターミナル-本谷橋手前:雪無し夏道 本谷橋手前-涸沢:一部を除いて積雪あり。本谷橋を渡ったところでアイゼン着脱する登山者が多かった印象。 ※新村橋架け替え工事の為、徳沢-横尾間で梓川右岸へ一度渡る。 <奥穂高岳> 涸沢-穂高岳山荘:ずっと雪道。ザイテングラート北側の急斜面を登る。アイスバーンもしくは緩んで滑りやすい。 穂高岳山荘-奥穂高岳山頂:ハシゴを登るところまでは夏道だが、以降はペンキの印をあてにできない。ガレ場を避けた岩稜登り、もしくは飛騨側の雪道になる。雪道には踏み跡が見られたがアイスバーンも多く、反対に信濃側は雪庇や空洞が目立った。適切にルートファインディングができないと危険である。 <涸沢岳> 穂高岳山荘-涸沢岳:ほとんど雪無しの夏道を行く。 <北穂高岳> 夏とは異なる北穂沢ルートを行く。ほぼ全体を通して雪の急斜面で、最も急な区間で約60度といわれる。例年はインゼルを下から見上げて左巻きに行くものの、今回は右巻きとなっていた。 ※3日前に滑落死亡事故が発生 【売店】 上高地バスターミナル周辺、明神館、徳澤園、横尾山荘、涸沢ヒュッテ・涸沢小屋、穂高岳山荘、北穂高小屋など豊富にある。 【水場】 上高地バスターミナル、河童橋、徳沢、横尾、涸沢ヒュッテなど複数ある点は有り難い。 |
その他周辺情報 | 日本一標高の高いカフェと呼ばれる北穂高小屋でコーヒーを飲むのがお勧めです。 1杯500円 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
防寒着
雨具
ゲイター
バラクラバ
毛帽子
靴
ザック
12本爪アイゼン
ピッケル(ベントシャフト)2本
ストック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
ライター
ヘッドランプ
予備電池
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
テント
テントマット
シェラフ
ヘルメット
|
---|---|
備考 | 毛帽子、バラクラバは使わなかった。 |
感想
今年の5月の連休は、昨年行きそびれてしまった残雪期の北穂高岳に挑むことにしました。
もし気象条件と体力が許すなら奥穂高岳も視野に入れるとして、涸沢のテント場で2泊です。
このコースは途中の売店や水場が充実していて補給がしやすいため、食料飲料は少なめにして40Lザックを使うことにしました。
【1日目(上高地→涸沢)】
曇りのち小雨でしたが、もともと涸沢までの移動だけだし、多くは望みません。
予報では翌日も昼頃まで曇り空というので、モルゲンロートも期待せずに寝ることにしました。
気になったのは、前日に北穂沢で滑落死亡事故があったということ、北穂高小屋Instagramではインゼルを右巻きと案内があったものの、長野県警は例年通り左巻きを推奨していたことです。北穂高小屋の案内の話をした上でも、左巻きに修正させているという話でした。
【2日目(奥穂高岳・涸沢岳)】
5時過ぎに起きてみたら既に空は晴れ模様。これはモルゲンロートを見られたかもしれない…と後悔しつつ、準備を整えます。
長野県警に最新の道の状況を尋ねると、奥穂も北穂も難易度は変わらないということでした。
先に北穂にするか奥穂にするかと考えていたのですが、先行者の列は奥穂方面が目立つ一方で、北穂方面は見えなかった為、先に奥穂を目指すことにしました。
皆さんザイテングラートを右に巻いているので自分もこれに倣います。
それにしても壁のような急傾斜と、その長さには圧倒されました。
(涸沢テント場-穂高岳山荘で標高差900m超)
…そして問題は穂高岳山荘から山頂までの道で、夏道通りに梯子と鎖を登った辺りまでは順調だったのですが、ここから先はペンキの印も見当たりません。
飛騨側の雪の急傾斜に踏み跡があるものの、アイスバーンか緩んでいるかという状態です。ピッケル2本を持ってきましたが、あまり通りたくありません。
先行者や帰ってくる登山者を見ると、浮石に気を付けながら岩稜登りで進んでいるようだったので自分もこちらへ移動しました。なるべく雪の無い道を手掴みで進み、気分は夏山のようでもあります。
それでもさらに進むと飛騨側の雪の急斜面を通る区間は避けられなかったのですが、どうにか無事に山頂までたどり着くことができました。
帰りも基本は来た道を戻るのですが、山荘近くの梯子まで近づいたところで浮石ゾーンに嵌ってしまいました。雪など関係なく滑り落ちる心配が出てきました。
近くに下山されている方がいらっしゃったおかげもあり、どうにか自分も安定した足場まで移動し、無事に山荘まで降りられたときは、とても強い安堵感でした。
穂高岳山荘から涸沢岳山頂までは雪もほとんど無く安定した道だった為、とてもリラックスして登ることができたのですが、ここで奥穂方面から人の叫び声と轟音が聞こえてきました。
はっきりは見えないけれど、あれは岩が落ちる音。そして梯子に勢いよくぶつかったような気がする。
…結局、その付近で穏やかでない人の姿は見えなかったし、報道も見つからないので特に怪我など事故は無かったのだと思いますが、とても恐ろしくなりました。
タイミングや脚捌きを間違えていれば、自分が巻き込まれた可能性、巻き込んでしまった可能性も十分あると思いました。
穂高岳山荘からの下りも急なことには変わりなく、慎重すぎるくらい慎重に下ったため人の数倍は時間がかかったし、少し横では小規模雪崩が発生しているのも見えましたが、どうにか無事に涸沢のテント場まで戻ることができました。
よく言えば、これまでの自分の山登りの集大成、悪く言えば実力を越えた道に足を踏み入れてしまったという気持ちです。
奥穂と北穂が難易度変わらないなら、北穂もかなりしんどいに違いない。
少なくとも気持ちは万全ではなくなってます。
本当に翌日に北穂を目指すかどうか考え直しながら眠りにつきました。
【3日目(北穂高岳・下山)】
このまま下山するにしても、せめてモルゲンロートだけは拝んでおきたいという気持ちで早起きです。
予報通り、空模様は申し分ありません。
これだけ綺麗な景色を眺めていると、心も晴れてくる。
そして昨日あれだけ疲れ果てたのに、すっかり体が軽くなってしまっている。
前日は全く目立たなかったのに、今日は北穂を目指す先行者も数いるように見える。
…そうしているうちに、そのまま帰るわけにはいかないという気持ちになってしまいました。
問題のインゼルは皆さん右巻きに行っているようで、帰ってくる人からも右巻きを促され、自分もこれに倣いました。
そして約60度といわれる急傾斜ですが、前日の奥穂も同様です。
さらに、登り切ってしまえば山頂はすぐそこで、奥穂と難易度を比べるべくもありません。
山頂、そして北穂高小屋からの眺めは説明不要でしょう。
八ヶ岳、富士山、前穂高岳、奥穂高岳、白山、笠ヶ岳、薬師岳、大キレット、槍ヶ岳、後立山連峰、表銀座などを眺めながら、ホットコーヒーをいただきます。
こんなに優雅なコーヒータイムもなかなか無く、味も市街地で飲むより格段に美味しく感じます。
下山も急斜面であることには変わりなく、3日前には死亡事故が起きてしまっている箇所ではあるのですが、やはり前日の奥穂の方が急な区間が長く恐ろしかった気がしています。
【全体として】
今季登った雪山は、どこも条件面では恵まれ切っていて歩きやすかったと思うのですが、今回はアイスバーンとぐずぐずに緩んだ雪に苦戦しました。
特に奥穂は雪以外の要素もあり、北穂よりも遥かに難しかった気がします。
それでも先行者の踏み跡だったり、周りの歩いている人だったり、営業小屋での補給や休憩だったり、人のおかげでどうにか無事に登って帰ってくることができました。
人のありがたみを強く感じられる点も登山の魅力の一つだと思っているのですが、自己完結できるような実力に合った山選びという点では、まだまだ課題が多い気もしました。
それでも山頂や涸沢の絶景を見ていたら、やはり挑みたくなってしまう。
そのためには自身のレベルアップしかありません。
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