槍ヶ岳/湯俣〜北鎌尾根
ふぁつ
kwata
tyaku
- GPS
- 56:00
- 距離
- 35.9km
- 登り
- 2,167m
- 下り
- 1,979m
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9月16日3:00起床-（夜明けを待つ）4:55ビバーク地-5:30P5-7:00P6-7:55北鎌のコル8:20-9:55独標分岐（直登）-11:35独標-14:00北鎌平-15:30槍ヶ岳
9月17日3:30起床-4:40肩の小屋-6:30槍沢ロッヂ-9:43上高地BT
| 天候 | 9月15日：曇り時々晴れ一時雨 9月16日：晴れ後曇り 9月17日：曇りのち晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2012年09月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 タクシー
|
| ファイル |
非公開
6097.xls
計画書
（更新時刻：2012/09/09 13:59） |
写真
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感想
北鎌から槍初登頂。
去年、天候不良で達成できず、
今年は9月に予備を交えて日程を押さえて、やっと登頂。
CL候補のMさんが参加できないとのことで、
急遽CLに。
正直、やってみると反省点がボロボロ出てくるが、
全員無事に登頂できたので、OK。
ルートは、湯俣から、独標も直登、
もう二度と行かないと決めて稜線上をいく。
初日：高瀬ダム〜P4まで。
計画では、P2までを予定していたが、
時間的な余裕もありP4まで進む。
初日は、沢筋ということもあり、
やっさんに、トップを行ってもらう。正直、相当助かった。
■高瀬ダム〜湯俣
歩き。緊張感無。
■湯俣〜千天出会
湯俣からいよいよ、水俣川の遡上。
スタイルは沢登（自分除く約2名）
自分は、短パン＋クロックス＋沢ソックス。
意外と、足裏感覚がしっかりしていて、
渡渉、へつり、高巻きにも対応可能。
ただし、2回ほどかかとの固定具が外れる・・・が修復可能。
水量が少なかったこともあり、
積極的に渡渉（10数回）を行う。
基本的に、ひざ下。
ひざ上は2回。
千天出逢いまで、高巻きなし。
フィックスロープのあるへつりも、渡渉して避ける。
■千天出合〜P2取付き
全体的に高巻きが従来のルートのようであるが、崩壊したという情報あり。
現地にて判断の方向で、天上沢の遡上。
渡渉数回実施。
滝壺と滝では、沢遡行不可のため、高巻き。
P2取付きには、加藤文太郎が遭難したとされる、
第3吊り橋の残骸ワイヤーが岩にぶら下がっている。
そのちょっと上で渡渉可能とのことだが、
下流側でも水量少なく渡渉可能であり、渡渉。
右岸の支流に二段のナメ滝があり、そこで飲料水GET。美味。
■P2取付き〜P4
P2までは、急登。ただし、踏み後明瞭で心配なし。
途中、岩場もあるが、脆いが怖さは感じない。
稜線との合流（P2）では3〜4テンがOK
時間に余裕あるため、P4直下のテントサイトに向かう。
藪漕ぎひどく、見た目以上に時間がかかる。
また、松脂が手につく。チョークバックかわり？
P3？山頂脇に2テン程度のスペースあり。
P4付近はワイルドブルーベリー畑。つまみながら、進む。
P4直下のテントサイトは広く、3〜4テンなら、3、4張はいける？
ただし、傾くけど。
ここで、幻聴？徳さんの声が聞こえる。P9から声をかけてくれた模様。
■早朝P4〜北鎌のコル
今回の核心部の一つ。（槍山頂直下でルートミスしなければ、最大の核心）
P5の前衛峰を右から巻き、懸垂支点へ到達。
クライムダウンも可能なため、1段下がり、ロープをだして、
P5のトラバース。
正直ロープなくてもいけるが、岩がもろく出したほうが無難。
そのあとP5，6のコルへの登りのルンゼが悪い。
沢の詰のような状態で、危うい岩と草をつかんで登る。
ルンゼ状は下部と上部あり。
下部はざれており、上部はかなり厳しい。
上部は、草付。草は多いが、脆く、傾斜も急なため、怖い。
P6の巻きもロープ使用。
ザレ場。滑るとどこまでも落ちていけそうだが、
しっかり足を置き、左右の岩と灌木を手のホールドにしていけば、
ロープなくても難なくこなせそう。
P7の下りは、途中に懸垂支点がある。
ただ、支点から続く右の踏みあとをたどれば、問題なく下れる。
■北鎌のコル〜P10
いきなり登山道が出現。明瞭な踏みあと、快適な縦走。
悩みなし。歩くのみ。
■P10独標直登
残地ロープで岩をトラバースした後、岩の間を抜けて、天上沢側に行けば取付き。
今回の見せ場の一つ。やっさんにお願いする。
最初が核心。
さすが、12クライマー＆体力男。なんなくこなす。
独標は1P目のルンゼを登った後、2ピッチ目はナイフリッジを進む。
めちゃくちゃ快適なルート。
独標頂上でやっと槍が前面に！かっこいい！
■P10〜白ザレ峰（A領の頭）
P11〜P14のルートファインディングは困難。
基本的に稜線沿いの意識で登るが、
この部分に関しては、千丈沢側の巻きをうまく取り入れる必要がある。
巻く時は千丈沢側を意識する必要あり。
しっかりとルートファインディンが必要。
P13に関しては、稜線上を真直ぐ行くと息詰まるため、
踏みあとと岩の状態をよく見て、下れる岩溝を千丈沢側に下って、巻く。
ここで、先パーティの滑落による血痕（ヘリで救助された模様）や
いつのものかわからない空中で途切れるロープがあった。
白ザレ峰（P14）は、わかりやすい。
直登も難易度低い。
■白ザレ峰から大槍直下
基本稜線上を進むが、途中で大巻。北鎌平を巻いてしまう。
■大槍
ルートファインディングミス。
下部、上部チムニーがあるとされているが、
知識があいまいだったため、痛恨のチムニー勘違い。
正しい下部チムニーの下には、プレート（遭難碑）が埋め込んであるらしい。
自分は、間違ったチムニーを進む。
そもそも、確保支点がない時点で他のルートを検討すべきであった。
槍を踏みあとをたどってのぼり、左右に踏みあとが分かれた後、
左側にある怪しげなチムニーは不正解（と思う）。
カムで確保支点を作成し、バック＆フットで体をずり上げ、
チョックストーンのガバをつかんで安心と思ったら、
その右上の1m四方くらいの岩が落ちそうに。
手を放したら落ちそう！
ロープをチムニーから外して、下の二人を安全地帯に移動。
石をうまくバランスさせて、その場を離れる。
ロープをはずし、やっさんに回収してもらう。
そのあと、正規ルートに戻るチャンスもあったが、
残置スリングにつられて、さらに直登。
気持ち？4級程度の岩をフリーで登る。
やっさん、ざっぱは別のルートを進む。
必死で、目の前の岩をつかんでいるうちに、
ひょっこり祠の右後ろに顔を出せた。生きてて良かった（大げさ）
パーティー2人も問題なく、登頂。そこで握手。
■雑記
・今回のメンバー2人には感謝。
意見対立もあったけど、
クライミング能力も高く、普段沢登りをやっているだけに、
悪路での強さが頼りになった。
ルートどりに悩まずに済み、無事に北鎌完登。
ありがとうございます。
・この日の槍一般ルートは大混雑、大渋滞。
ヘリポートからの行列で、肩の小屋から山頂までは
3時間半〜4時間かかったらしい。
・初めての槍山頂。
初日ビバークのビールをあきらめてまで持ち上げた、
フルーツゼリーは格別の味。
・軽量化
ゼリーを除いて軽量化は最大限図った。
渡渉のための用意は、クロックス＆沢ソックス。
睡眠道具は、ダウン上着＆像足＆シュラフカバー＆エアパッド（モンベル）
ちょっと寒いけど、十分。足先冷えないのは大きい！
・靴
スポルティバのボルダーXミッド
このルートは、意外にクライミング要素大きい。
濡れないアプローチシューズは快適。
・水
今回2L＋1L 合計3L持ち上げたがぎりぎり。
人によるとは思うが、4L程度あると安心か？
・やっさんの体力は無尽蔵？
体力ないといいつつ、余裕綽々
北鎌は、アルパインだけどただの縦走路という意見をよく耳にする。
それは一理あると思うし、難しい登攀は特にない。
ただ、湯俣〜北鎌のコルまでとその先は全くの別物。
前半は冒険気分を味わえるし、後半は岩稜縦走が楽しめる。
一生に一度でいいけど、ものすごーく達成感が味わえた。
全体を通して思ったのは、エスケープルートのなさ、
地形、沢の水量の変化（湯俣〜北鎌のコル）など
天気などの運、体力、精神力、いざというときのための
そこそこの登攀力とルートファインディング能力が必要な気がした。
そうすれば、もっと余裕をもって登れる気がする。
ともかく、一緒に行った2人ともありがとです。
初めて槍ヶ岳に登ったのが、確か8年前の2004年、その時は2回目の縦走で
表銀座を縦走して東鎌尾根からだった。もちろん小屋泊まり。
初日が燕山荘、2日目が西岳、3日目が天狗原経由で槍沢ロッヂの3泊行程だった。
その時は穂先の登りに4時間ナンテことはなかったwww
当時、大槍の頂上で、晴れ渡る山頂から北鎌尾根を眺め、こんなところを
歩く人もいるんだなぁと思い、憧れを持ちつつ、まるで別世界のことと思った
記憶がある。
あれから、「孤高の人」や「風雪のビバーク」を読んで、北鎌尾根の持つ物語性に
触れ、北ア南部に来れば自ずと目に飛び込んでくるそのフォルムに、
「別世界」から「いつか行きたい」ところに変わっていった。
その後、カモに入り、状況は一変した。
先輩について、ロープワークを学び、数多くの山行を経験し、並行して
クライミングの技術も向上させた。
そして、昨夏、チャンスがやってきた。しかも「途中」からではなく、
尾根の「末端」から取り付く。事前準備を入念に行い、その日を迎えた。
が、悪天中止。翌年の宿題となった。
そして、1年後、捲土重来、再びチャンスが巡ってきた。メンバーに
変動はあったものの、やはり尾根「末端」から取り付く計画だ。
ルートについてはCLしげさんがかなり詳細を書いてくれているので、
それを参考にしてほしい。
で、北鎌を末端から歩いて感じたこと
このルートは大きく分けて3つのセクションに分かれる。
1つは、湯俣〜P2取り付きまでの遡行。
次に、P2取り付きから北鎌のコルまでの北鎌尾根前半部
最後に、（皆が歩く）北鎌のコルから大槍までの後半部。
最初の遡行、これは偏に水量に左右される、今回は水量が少なく、
渡渉容易であったことで、歩行時間、体力面で楽させてもらった。
水量が多い場合は、丹沢とか奥多摩とかで滝登り中心の沢遡行しか
していないと（＝一定の渡渉技術を有していないと）、結構な困難を
強いられる可能性が高い。その意味で渡渉可否（水量）の見極めと
渡渉そのものの技術が必要と思われる。
また、天丈沢は地形が細くなるので、今回のような水量僅少であっても
高巻が必要な個所が生じる。今回、右岸を2回ほど巻いたが、安定した
踏み跡だったので、助かった。
次のポイントは、P2取り付き以降だが、まずは、取り付きから1時間弱、
アルプス3大急登も色あせる急登が続く。特に、最初はまだマシだが、
中盤の岩場以降はかなり急になる。そして、ハイマツを中心とした藪。
これが行く手を阻む阻む。軍手は必須。
この日は沢屋？の私が先頭だった。
しげさんの記録では踏み跡明瞭とあるが、中盤以降はやや薄くなり、
何度かルーファイに悩んだ。
それでも1時間弱なので、耐えられる程度。無事にP2に到着だ。
問題はその先、1日歩いて体力も大分落ちてきたところで、ビバーク地を探しながら
アップダウンを繰り返すので、なかなかシンドイ。それに雨も降ってきて不快だ。
不快と言えば藪もまだまだ元氣。雨で濡れた下草やハイマツのおかげで、雨は止んでも
全身ずぶ濡れだ。防水性がまったくないアプローチシューズは完全に浸水。
こんなんだったら、最初からアプローチシューズで遡行すればよかったと
思ってしまう。
そして、どうにかこうにか、P4直下のビバーク適地に到着。
ちなみに、初日、七倉から持ち上げた飲み水1．9Lで、飲んだのは1日で
400ml程度。翌日のために我慢した。P2取り付きの枝沢で1．8L汲んだ
ので、ビバーク地には3．3L運んだこととなる（＋ビール500ml）。
なお、2日目はピーカンできつかったが、1．9Lを飲み水にして、
テン場についたときには500ml強余った。他の2人がキツキツだったのと
比較すると、ハイドレーションはチビチビ飲むので、残量管理だけきちっと
やれば、有効な方法だと感じた。
2日目前半が最大の核心。P5、P6のトラバース。
ここは、それぞれロープを出すかの選択が悩ましいところだ。今回は
しげさんがトップで上手なルートを選択してくれたので、結果的には容易だったが、
一度ルート選択を誤れば、なかなかシンドイ状況に追い込まれるハズだ。
（P6はルートの間違いようはないが）
P5トラバース箇所に至るには一旦降るがここに懸垂支点あり。クライムダウンとの
選択になやむところ。もっとも効率的な方法を考えるという点では、なかなか面白い
箇所だ。
あと、P5〜P6の間のルンゼ状に至る急登もルーファイミスると、怖い思いをする。
ここは全体を通しても慎重に進むべき箇所だと思う。
P6までは人も少なく、ルーファイも楽しく、探検的気分、アルパイン要素のある
実の登降だったが、そんな気分も北鎌のコルに到着すると一変する。
藪漕ぎは殆どない明瞭な踏跡、登山者を悩ます無数の踏跡、至る所に整地されたビバーク地、
そして人人人。そのギャップに閉口する。
が、通常、北鎌のコルから入ることも理解できる。岩稜の魅力は確かに後半に詰まっている。
独標までの登り、そして独標に至ると、それまで1日半、僅かも見せてくれなかった
槍の穂先が悠然と姿を現す、その表現力、憎たらしい。（これがその他の尾根と異なる点）
歩くほどに迫ってくる東鎌尾根を携えた大槍のシルエットに興奮しながら、
一方で、P4からの歩き通しで削がれていく体力と戦いながら、
過ぎゆく時間と沸き立つガスで雷を懸念しながら、
大槍のピークに立ち、物語はフィナーレを迎えた。
感動だ。。。。が、ピーク人多すぎ。浸っている余裕はなかったwww
ところで、北鎌のコル〜大槍で感じた幾つかのネガティブファクター。
それは、繰り返しになるが、人の多さ、ビバーク地（削られた土地）の多さ、
無数の踏み跡...このルートはいつまでもバリエーションルートという
位置づけで自己責任の登山者のみに頼っていて良いのだろうか...ということ。
P13付近で（恐らく）クライムダウン中に滑落した人のものと思われる方の
約1m四方の血飛沫が岩に付着していた。（無事だったらしい）それ以外にも
何ヶ所か真新しい出血の跡を見かけた。が、これはその瞬間を見ていないので
評価のしようがない。
北鎌のコルでヘリを呼ぼうとするパーティがいた。
詳述はしないが、やや？？だった。
問題は、今回単独の方を何人も見かけた。もちろん単独自体が問題ではない。私も会を
辞めたら単独で来たいと思う。問題は、余ほど「腕に自信あり」なんだろうと思っていたが、
頂上間際で岩場を登っていると、後ろから単独の方が、不安そうな顔で「ここ、
ロープ無しで登れますか？」と聞いてきたこと。
「え？マジ」と思ったが、「（あなたのこと）分かりませんが、ちょっと不安定ですよ」と回答してさっさと
先を急がせてもらった。。...これが無雪期、連休の北鎌尾根の現実なんだと心から実感させられる
1シーンだった。たまたまなんだと思いたい。
北鎌尾根ってヴァリエーションルートではないのか？
と思って、ヤマレコを見てみると、「PH、縦走」で登録された記録が多い、「アルパイン」で
登録している人は少数派だ。一般登山道と思われてるのか。。。
とすれば、このままでは無法地帯、正直不安が残る。かといって、
私は思うだけで、何をできるわけでもないのだが。
そんなネガティブなことも思ったりしつつ（それは末端から取り付いて、前半と後半の
変貌ぶりを見てしまったから感じたことなんだろう）も、それを差し引いても、北鎌は、
素晴らしいルートだ。
一緒にいった2人は、「もう末端からはいいや」と言っていたが、私は、実は
もう1回末端から登っても良いと思っている。北鎌のコルからが岩稜縦走に特化
しているのに対し、末端からだと変化があって楽しいし、充実する。
ただ、1人だと心が折れる。
その点、今回、一緒にいったメンバーと力を合わせて登った、という感覚が強い。
時にルーファイで意見が分かれたりしたが、基本、声かけあって、励ましあって、やりきる
ことができた。だからこそ、2人には心から感謝しつつ、次また登るとしても、
ちゃんと意思疎通できる、力を合わせて取り組める、そんなメンバーと登りたいし、
自分もそう思われるだけの力を備えたい。
次はチムニー登ってやる。
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