台風と鬼ゴッコ:下山中転倒あわや滑落?甲斐駒ケ岳黒戸尾根ピストン
- GPS
- 09:22
- 距離
- 17.2km
- 登り
- 2,383m
- 下り
- 2,383m
コースタイム
尾白川駐車場 5:00; 0:00 (4:35; 0:00)
横手白州分岐 7:30; 2:30 (6:08; 1:33)
刀利天狗 9:30; 2:00 (7:16; 1:08)
五合目 10:50; 1:20 (7:44; 28)
七丈小屋 12:00; 1:10 (8:20; 36)
八合目 13:00; 1:00 (?; ?)
甲斐駒山頂 14:30; 1:30 (9:50; 1:30)
甲斐駒山頂発 (10:05; 0:15)
八合目 15:20; 50 (?; ?)
七丈小屋 16:00; 40 (11:05; 1:00)
五合目 16:40; 40 (?; ?)
刀利天狗 17:30; 50 (12:07; 1:02)
横手白州分岐 18:40; 1:10 (12:59; 52)
尾白川駐車場 20:10; 1:30 (13:57; 58)
合計時間 15:10 9:22 (62%)
天候 | 早朝:雨〜午前中:晴れ〜曇り 疑似好天を体験できました。 まさに天気予報通り。 きちんと調べておいて良かった。 台風の接近に合わせて下山できた。 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
車中で仮眠、3:40に起床、4:35出発 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【道の状況】 良く整備された登山道、本来1本道なので迷う所はないのだが 時々登山道でない所に入り込んでしまい、アレっこれ違うと 引き返したことがあった。 下りで道でない方に降りてしまい、それ以上降りられない所で 初めて気づき、あわてて登り返した。 【危険箇所】 梯子、鎖が難所に整備されており、その意味では危険箇所はないと思う。 片側や両側がスッパリ切れ落ちているところあり、 落ちたらタダでは済まないことろは随所にある。 降雨直後だと岩が滑ったりそれなりに危険はあるのではないか。 下山中刃渡りの手前で転倒して滑落しそうになった。 (詳細は感想で) 【登山ポスト】 夜着いたので判らなかった。登山届け出すべきでした。 (この件についても感想で) 【飲食店】 駐車場に売店あり、食事もできる。 カロリーたっぷり消費したのでご褒美にソフトクリーム。 車だったので帰りに道の駅白州で昼食。 なめこおろしうどん美味かった。 |
予約できる山小屋 |
七丈小屋
|
写真
感想
【プロローグ】
連休で帰国できたので初めての南アにチャレンジ。
いきなり黒戸尾根日帰りピストンというのもきついかも知れないが、
夏休みに八ヶ岳を2日連続で歩いてみて、ロングも歩ける感覚できた。
過去のレコ見て情報収集。これならなんとかなりそうとやってみた。
【天候】
問題は台風17号の接近。3日前から天気予報と天気図を精査。
綜合すると当日の早朝は雨、午前中は前線が北へ移動し、
疑似好天、午後になると台風の接近で雨風が強くなるとの予想。
そうすると唯一のチャンスは日の出前に出発、午後早い時間戻りで
早朝の雨は樹林帯でやりすごし、最悪、予想より早く天候が
急変悪化した場合は七丈小屋へ避難のプランを立てた。
早朝雨が降っていたので、無理する必要ないと撤退プランも
出発前に明確にしておいた。
予報通り午前中疑似好天にならない場合、稜線に出て雨が降っている場合は
撤退と決めておいた。
【装備】
ザック:サロモンXA20(20L)
ハイドレーション:2L
水筒:ナルゲン400ml
雨具:上下(モンベルストームクルーザー)
ヘッドランプ、懐中電灯
救急キット:
食料:オニギリ1個、羊羹1本
行動食:ジェル4本、飴4個、アミノバイタル3袋
着替え:長袖のベース及びミッドレイヤー
ストック:ダブル
ザックカバー:
レスキューシート:
ツェルト:
カメラ、GPS、スント(心拍計、Food Pod)
服装は上半身:半袖のドライレーヤー、トレラン用シャツ、ソフトシェル
下半身:サポートタイツ、トレラン用短パン、膝用サポーター
靴:サロモンGTX
【心拍数】
一応過去の経験から自分の無酸素性作業閾値は心拍数で150相当。
胸に心拍計をセットして、以上になったらスピ−ドを落とすか、
給水や写真とかで心拍数を落とす作戦にした。
時間が限られているので、バテからと言って
のんびり休憩するわけにはいかない。
結果平均心拍数141、最高166。急登区間では簡単に150を超えてしまう。
特に岩の多い核心部はある程度のスピードを維持しようとすると
すぐに息が上がる。
逆に下りはなかなか心拍数が上がらず、
本来ならもっとスピードを上げるべきだったかも。
スントのデータは消費カロリー5,095kcal
平均時速2.04km/h
【前日】
尾白川駐車場で車中泊。車は数台。やはり台風で自重しているのだろう。
自分より後で到着した車があったが結局スタートしなかったようだ。
マットに空気を入れ、シュラフに潜りこむが暑いので、シュラフは
使用せず。窓を開けて寝た。
【起床〜出発】
3:40に起床、サンドイッチで朝食。なんとかなりの勢いで雨が降ってきた。
このまま降り続くようだと無理かなと思い、出発前に引き返す
ことも頭をよぎる。
荷物をパッキングする際、ダウンをどうするか迷ったが稜線で
天候が急変したり、気温が下がると必要かなと思い入れておいた。
水は小屋で補給することを前提に1.5L。
服装はトレラン用のドライレーヤーに半袖シャツ、
着替えに長袖のベースレーヤーと長袖シャツを入れておいた。
4:00に出発する予定が2度寝してしまったので、雨で少し様子をみたので
結局4:35出発になってしまった。
【出発〜笹の平分岐】
夜明け前なのでヘッ電とハンドライトのダブルで進む。
ときどきギャーという獣の鳴き声にビビリながら。
時折雨足が強くなり、雨具を出したり、ザックカバー出したり、
5〜6回繰り返したと思う。従ってスピード上がらず、
心拍数も上がらず。なによりも雨でテンションは下がりっぱなし。
【笹の平〜刀利天狗】
夜が明けて本来テンションが上がるところだが、
展望の利かない長い急登で心が折れそうになる。
標高差から見れば奥多摩の急登を1本というところか。
雨も上がり、予報通り疑似好天で時折日差しも。
敗退の理由は無くなってしまった。前進あるのみ。
刃渡りは下を見ないで通過。鎖があるのでそれほど怖くない。
刀利天狗にはテントが一張、人はいないようだ。
【刀利天狗〜五合目】
傾斜緩くトレランなら走れる区間。
五合目小屋跡の下り(帰りは登り)はアクセントあって自分には良い。
ここで2組とすれ違う。七丈小屋泊まりのようだ。
こんな日に登る人はいないと思ったのだろう。怪訝そうな顔だ。
【五合目〜七丈小屋】
梯子と鎖のテクニカルな部分。
ストックを仕舞い、手袋を付けようとザックを探したが無い。
車に置き忘れたようだ。岩や鎖を素手でやることになった。
今日の反省その1「持ち物は出発前に再度確認」
鎖、梯子は離さない限り危険はないが、荷物が重いと大変だと思う。
自分はテン泊はしないし、日帰りでもトレランに近い軽装なので
あまり苦にならない、
【七丈小屋〜八合目】
小屋を過ぎると、いよいよハイマツと岩ゴツゴツの急登で高山の雰囲気。
日差しも強くなり、心拍数が上がる。
ここで男女ペアとすれ違い。たぶん北沢峠からか小屋泊りだろう。
八合目前で右足内転筋が攣り始めた。
もっと写真を撮りたかったが、攣るのを避ける歩きに集中したので
撮影できなかった。
【八合目〜頂上】
難所はない。ひたすら登る。
ソロの男性とすれ違う。さっきまで人がいたが最終のバスが11:15
なのでそれに合わせて降りたそうだ。
どちらへ降りる予定ですかと聞かれたので、「ピストンの予定だが、
天候次第で」と答えたら最終のバスに乗るなら急がないと
間に合わないとアドバイスもらった。
頂上までは30分かからないとのこと。ありがたい。
次にソロの男性を抜いた。刀利天狗にテント張った方だった。
この日黒戸尾根をピストンしたのはこの方と自分の二人のみ。
たぶん下からは自分だけだろう。やはり普通はやらないのかな。
【頂上】
空は青いが雲が多く展望は利かない。周囲は雲だらけで
他の山は何がなんだかと言う感じ。
仕方ないので一番高い所にある岩に登って遊んでみた。ジェルで補給。
さき程のソロの方が登ってきたのでしばし歓談。
台風が気になるので、そそくさと下山。
【下り】
いくつかのミスをやらかした。
八合目から先の所で本来降りる方でない方に降りてしまい。
もうこれ以上無理という所で気づく。
下を見たら石碑があったので全く道ではない。
あわてて登り返し、正規のルートに戻る。
なんでこんな方向に降りたのだろう。
疲れて集中切れると視界が狭くなりルートを失うのだろう。
間違えようのない一本道でこれだ。
危ない危ない。これが反省その2
「初めてのコースではルートはしっかり見極めるべし」
天候も悪化せずに時折、晴れ間がのぞくが、ガスが上がってきている。
【転倒〜あわや滑落】
そして刃渡りの手前であわやという場面に。
場所としては平坦で何でもない所。
右足で細い根っこにつまづき転倒。
ダイブするように右側の茂みに突っ込んだと思った。
咄嗟に左手で太い根っこを掴んでいた。
下半身は何かに触れている感覚が無かった。
下を見たらなんとスッパリ切れた絶壁が見えた。
茂みだと思ったのは尾根から張り出した木が数本だった。
慌てて根っこを支えに体を引き起こして事なきを得た。
これが反省その3。
「疲れのたまる下りは細心の注意を払うべし。」
遭難はこういう所で発生するのだと実感した。
刃渡り手前のなんのことない道である。
まさかこんな所で転倒、そして危うい支えの下は
絶壁だと誰が想像するだろう。
あの太い根っこがなかったら絶壁を滑り落ちたことだろう。
言うまでもなく、その先の刃渡りは怖くて
鎖にすがるように慎重に通過した。
反省その4は登山届けを提出していなかったこと。
ここ落ちたら絶対助からないと思うと同時に、
登山届けも出していなかったし、滑落したら最後
絶対見つからないなと思った。
「登山届けは出すべし。」
家族にメールは入れていたが、現在地を知らせていなかった。
これがソロの怖さだと改めて実感した。
【そこから先】
刃渡りから先はともかく転倒しないように慎重に歩いた。
足が前に出て行かない。通常ならトントン降りていくような所も
もし捻挫したらどうしようとかアキレス腱切ったらどうしようとか
ネガティブな発想しか浮かんで来ない。
笹の平の手前で、頂上直下ですれ違ってアドバイスくれた男性に追いつく。
挨拶したら「アレっ、朝会った方ですよね。さすがに早いですね。」
その方はテン泊だったし、写真を沢山撮影しているようだったので
「その装備だとなかなかスピード出ないですよね。」と言って別れた。
雨が降ってくる前に下山できていれば良いが、、、、
そして最後に午前中にすれ違った夫婦と思しき男女を抜いて
吊り橋のゴールへ。
【駐車場で】
雨が降り出す前に無事帰着。ご褒美のアイスクリームを食べ終わり
着替え終わったら雨が降ってきた。
そう言えば、歩くのに夢中で、食事もせずに戻って来てしまった。
やはり天候が気になって先を急いだのが転倒につながったり
普段ではやらないような場所へ入り込んだりしたのだと思う。
駐車場を出るころはフロントグラスを叩く激しい雨。
一応台風との鬼ゴッコは寸前で逃げ切ったと思うが、
疑似好天の怖さは良く理解できた。
帰りの高速は怖いくらいの水しぶきでワイパーが追いつかない。
ソロで山に入る場合、計画書を提出するのはもちろんのこと、
だれかに連絡を入れてどこまで通過したか知らせるのは必須だと思う。
黒戸尾根、低山から3000m級までを一度に楽しめる数少ないルート。
標高差2,300mは手強かったが、奥多摩の急登3本分だと思うと
次は本仁田山、鷹の巣、三頭山日帰りが頭をよぎってしまう。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する